まこちゃの、考える映画ブログ

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映画『#フォロー・ミー』から、フォロワー数獲得の心得を学んでみた

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映画ライターとして生計を立てる事を目標に、ブログや映画紹介記事を書かせてもらってますが、Twitterのフォロワー数が伸びない事に悲しい毎日を送っています。
現在、自己承認欲求の塊のような存在になった私ですが、そんな自分にピッタリの映画を発見し、今更ながら観賞してみました。

2020年公開の映画『#フォロー・ミー』の主人公コールは、ライブ配信で生計を立てているカリスマブロガーで、自分のチャンネルを10年続けているという、現在の私からすると憧れのような存在でした。

今回は映画『#フォロー・ミー』の内容をネタバレ込みでご紹介しながら、作中から学んだ、フォロワー数獲得の心得に触れていきたいと思います。

『#フォロー・ミー』あらすじ
幼少の頃からの撮影好きな性格から、現在は過激な動画を配信し、人気を集めるカリスマブロガーのコール。
彼は動画配信開始10周年を記念し、友人に誘われた「謎解きゲーム」に参加する為、ロシアに向かう。
だが、始まった「謎解きゲーム」は、命懸けのデスゲームで、コールと共に参加した友人や恋人は、拷問器具などに拘束され、次々に危険な状況に置かれていく。
危険なデスゲームの状況を、全世界に配信しながら脱出を試みるコールだったが、次第に思いもよらない状況へと陥っていく…。

 

フォロワー数獲得の心得①
主人公のコールから、「鉄の精神」を学ぶ

『#フォロー・ミー』は、カリスマブロガーのコールが、危険なデスゲームに巻き込まれるショッキングスリラーです。
主人公のコールは、幼少の頃から動画撮影が好きだった事から、現在はライブ配信で世界的に有名になった、ネット時代の成功者です。
一体、どこがそんな人気なのか?という部分ですが、とにかく配信が細かく、ロシアに到着して以降も、さまざまな場所から「この後、ゲームの模様を配信するぜ」的な告知を行います。

コールは、あまりにも配信に夢中になり、自分の恋人がロシアのマフィア的な男に絡まれても、一切気付きません。
また、ロシアの酒場で、ロシア人を馬鹿にしたようなジョークを配信で飛ばし、酒場にいたロシア人の客から、凄い目で睨まれてもお構いなしです。

フォロワー数を獲得するには、これぐらいの「鉄の精神」が必要なんですね。

 

フォロワー数獲得の心得②
闇世界のユーチューバーみたいな人から、独自性を学ぶ

映画『#フォロー・ミー』は、序盤はデスゲームのような展開が続きますが、中盤からロシアのマフィア的な集団が登場して以降、作風が大きく変わります。
ロシアのマフィア的な集団に捕まったコールと友人達は、廃工場のような場所に連行され、次々に殺されていきます。

殺人を行う集団のボスは言います「俺の視聴者は殺しを求めている」と。
つまり、この集団は闇のユーチューバーのような活動をしており、人が死ぬ瞬間を配信する事で、フォロワー数を伸ばしているんですね。

もちろん、この集団と同じ事をやろうとは思いませんが、フォロワー数獲得の為、独自の企画力は大事だと思いました。

 

フォロワー数獲得の心得③
ドッキリを仕掛けるなら命を懸ける必要がある事を学ぶ(ネタバレ)

デスゲームの後に、闇のユーチューバーに捕まり、次々に殺される仲間を目の当たりにしたコール。
ボロボロの状態で、なんとかコールだけ脱出しますが、そこに、このデスゲームを仕掛けた資産家のロシア人が登場します。
全ては、この資産家の企みであると感じたコールは、資産家をボコボコに殴り、撲殺します。

まぁ、ここまでの流れを見れば、コールにその権利があるように思えますが、実は全部がドッキリだった事が判明します。
死んだと思っていた友人達は、実は生きていて、コールの配信開始10周年を祝おうと隠れていたのですが、コールが資産家を殺してしまったのだけは事実。

取り返しのつかない事をしてしまったコールは唖然とし、そのまま映画は終了します。

フォロワー数獲得の為には、独創的な企画が必要ですが、ドッキリを仕掛けるなら命を懸けろという事ですね。

いやー勉強になった映画だった。

映画『カウンセラー』は、何とも言えない不安な気持ちになる、奇妙な42分間を体験できる短編怪奇心理サスペンス!

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映画『カウンセラー』

 

心理カウンセラーの倉田真美が、突然現れた不思議な女性、吉高アケミの診療を開始した事から始まる、奇妙な恐怖を描いた42分の短編映画『カウンセラー』。

約110万円の資金で製作された本作は、作中の倉田の不安が伝染してくるような、精神的に何とも言えない「嫌な気持ち」になる、短編怪奇心理サスペンスです。

短編では史上初となる「SKIP国際Dシネマ映画祭2021」の「SKIPシティアワード」を受賞し、上映館を拡大させている本作は、2022年3月下旬から、渋谷の「ユーロスペース」にて2週間のレイトショー上映も決定しました。

本作の、一体何が、こんなに不安な気持ちにさせるのか?ネタバレはしないように、いろいろ考えてみたいと思います。

 

『カウンセラー』あらすじ
心理相談室に勤める心理カウンセラーの倉田真美。
彼女は出産を控えており、産休前の最後の出勤となった日、予約なしで心理相談室を訪れて来た、吉高アケミの診療を行う事になる。
「妖怪が見える」と語る吉高は、倉田にそれまでの経緯を話し始めるが、彼女の話は後ろめたい過去の告白だった。
だが次第に倉田は、吉高の過去を聞くうちに、自身も恐ろしい妄想にとりつかれるようになっていく…。

 

何とも言えない不安な気持ちになる要素①
吉高さんがとにかく怖い

出産を目前に控えた心理カウンセラー倉田が、突然現れた相談者、吉高の診療を行う中で、恐ろしい妄想へと足を踏み入れていく映画『カウンセラー』。
とにかく観賞していて、倉田の不安が伝染してくる作品ですが、その理由は間違いなく、吉高のキャラクターにあります。
吉高は、予約も無しに突然診療所を訪れる、少し変わった人ですが、何かが狂っているという女性ではありません。
倉田は、問題なく吉高とコミュニケーションをとる事もでき、会話は成立しています。

ですが、吉高は事前に記入をお願いしていた、アンケート用紙に何も書かず渡してきたり、リラックスさせる為のハーブティーを一気飲みしたりと、何かがおかしいのです。

映画とか見ていて、明らかに狂ったキャラより、どこかが少しおかしい、噛み合わないキャラの方がリアルな恐怖を感じますが、吉高はボディブローを打つように、こちらに的確な「恐怖」と「不安」を与えて来ます。

 

何とも言えない不安な気持ちになる要素②
主人公であるはずの倉田も信用できない

吉高がとにかく怖い、映画『カウンセラー』。
普通なら、産休の前日に吉高と遭遇してしまった倉田に、激しく同情し感情移入するところですが、物語が進むにつれて「どうも、この倉田も信用できないな」と不信感を抱くようになります。
これ以上は、ネタバレになってしまうので、何一つ触れませんが、中盤あたりから、観客は間違いなく混乱してくるでしょう。
「これは一体、どういう事?」という不安が、渦巻いてきます。

 

何とも言えない不安な気持ちになる要素③
「意味が分かると怖い話」的な恐怖

「妖怪が見える」と相談して来た吉高ですが、なかなか本題に入りません。
ですが、支離滅裂に思えた話は、全て繋がって来ます。
ラストに関して、何も言えませんが、個人的にですがネットや書籍などで見かける、「意味が分かると怖い話」的な恐怖を感じます。
妖怪って、一体何なんでしょね?

吉高さん、本当に怖いです。

映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は過去作への心からの愛とリスペクトを感じる「最高」しか言葉が見つからない映画だ!(ネタバレあり)

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(C)Ghostbusters: Afterlife

1984年に公開され、大ブームを巻き起こした映画『ゴーストバスターズ』。
1989年に続編となる『ゴーストバスターズ2』が公開されますが、人気シリーズにも関わらず、数十年間続編が制作される事はありませんでした。
3作目に関して、いろいろ噂が広がり「ウィル・スミスに出演オファーしたら、断られて白紙になった」や「ビル・マーレイが嫌がっている」など、信憑性が定かではない情報が出回りました。

ウィル・スミスはともかくとして、ビル・マーレイは『ゾンビランド』で、楽しそうに「ゴーストバスターズごっこやってたやないかい!
と大声で叫びそうになった事もありました。

ですが、2022年に突如として「ゴーストバスターズ」シリーズの新作が登場します。
前々から噂はありましたが、前述したように「ゴーストバスターズ」関係の噂は信憑性の怪しい情報が多いので、話半分に聞いてました。

だって、がセ情報だった時にガッカリしたくないから。

しかし、そんな心配は必要なく『ゴーストバスターズ2』の正当な続編『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、無事に公開されました!
観賞した感想ですが「最高」以外に言葉が見つからなかったので、何が「最高」だったのか、考えていきたいと思います。


ゴーストバスターズ/アフターライフ』あらすじ
母親に連れられて、祖父の住んでいた田舎町に引っ越してきたフィービー。
フィービーは兄のトレヴァーと共に、田舎町の雰囲気や、怪しげな祖父の屋敷に戸惑う様子を見せる。
さらに、祖父の屋敷には目に見えない何者かが住み着いているようだった。
ある時、フィービーは何者かに導かれるように、祖父が残した研究施設に辿り着き、かつて存在した、幽霊退治のプロ「ゴーストバスターズ」が使用していた幽霊捕獲装置の「トラップ」と「陽子ビーム砲プロトンパック」を見つけ出す。
同じ頃、トレヴァーも車庫にあった「ECTO-1」と書かれた改造車を見つけ、独自に修理を始める。
フィービーとトレヴァーの祖父は、「ゴーストバスターズ」の一員で科学者だったイゴン・スペングラー博士だった。
やがて、30年姿を見せなかったゴースト達が、再び目を覚まし、街に混乱が訪れるようになり…。

 

最高①「『ゴーストバスターズ』の精神を受け継いだ展開が最高!」
過去2作の「ゴーストバスターズ」シリーズは、1980年代のニューヨークを舞台に、超常現象や幽霊・霊体の研究を行っている科学者が主役でした。
ですが、ゴーストバスターズ/アフターライフ』では、舞台をニューヨークとは正反対と言ってもいい田舎町に変更しており、メインキャラクターも全員が10代です。

その為、序盤では1980年代を知らなかった世代が、「ゴーストバスターズ」の存在を知り、自らが幽霊捕獲装置を武器に、ゴーストと対峙するまでが描かれています。
かなり丁寧に物語が進むので、少しゆっくりに感じるかもしれませんが、フィービーが「陽子ビーム砲プロトンパック」を、トレヴァーが「ECTO-1」を修理していく展開は、多くの人が忘れていた「ゴーストバスターズ」を、新たな世代の手により復活させるという印象的な場面になっており、かなり胸が熱くなります。

そして、街に現れた鉄を食べるゴーストと最初の戦いになるのですが、街中を猛スピードで駆け抜ける「ECTO-1」の中から、プロトンパックで陽子ビームを発射させるフィービーは、街の大半を破壊していきます。

過去作でも、ゴーストを退治するのにホテルやビルの屋上を破壊している「ゴーストバスターズ」は、まさにお騒がせという存在だったのですが、その流れを完全に継承していますね。

また、過去作ではニューヨークという大都会に、イマイチ居場所が見つからず、ピーターやレイモンド、イゴンは居心地の悪い感情を抱いておりゴーストバスターズ2』で「善意の無い、住みにくい街」と言っています。
ゴーストバスターズ/アフターライフ』では、都会から来たフィービーとトレヴァーが、田舎に居心地の悪さを感じている描写もあるので、そこも「ゴーストバスターズ」シリーズの、作品の精神を受け継いでいると言えます。

 

最高②「数十年の時を経て、オリジナルメンバーが再集結」
ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、新たな世代の物語になっていますが、フィービーとトレヴァーは、イゴンの孫で、過去作との接点を持っています。
本作の中盤でフィービーが、昔の「ゴーストバスターズ」の電話番号にかけ、現在はオカルト専門の本屋を営んでいるレイモンドと話をする場面で、「ゴーストバスターズ」は完全に消滅しており、その決定的な原因を作ったのが、イゴンである事が分かります。
さらに、ピーターは大学教授になり、途中からメンバーに加わったウィンストンは、事業を成功させ、それぞれの道を進んでいました。

それぞれの道を進んだオリジナルメンバーですが、このフィービーの電話をキッカケに、再集結します。
しかも「出て来るなら、ここしかない」という最高のタイミングで現れます。
数十年ぶりのレイモンドとピーターのやりとりは、涙なしじゃ見れませんでした。

ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、これだけでも最高だったのですが、さらに涙腺が崩壊する展開になっていきます。

 

最高③「ハロルド・ライミスに本気で捧げた映画」
ゴーストバスターズ/アフターライフ』には、オリジナルメンバーのレイモンドとピーター、ウィンストンが集結しますが、イゴンを演じ過去2作の脚本にも携わっていた、ハロルド・ライミスは2014年に亡くなっており、出演が叶いませんでした。
ゴーストバスターズ3』は、一度本格的に指導しましたが、ハロルド・ライミスが、この世を去った事で完全に凍結したという噂もありました。

もう4人が揃う事は無い…。

と思ったら、揃うんですよ、オリジナルの「ゴーストバスターズ」メンバーが4人。
これは、もう「映画じゃないと無理」としか言えない方法で、4人が揃うんです。
そして、因縁の相手である破壊神ゴーザと戦うんです。
この展開に涙が止まらなくて、画面がちゃんと見れてないんで、もう1回見ようと思いますが、とにかく「最高!」しか言葉が見つからないクライマックスの展開!
前半の展開がゆっくりなんで「大丈夫か?」とか思った自分を全力で殴りたい。

本作の監督ジェイソン・ライトマンは、過去2作の「ゴーストバスターズ」シリーズを監督したアイバン・ライトマンの息子さんです。
ジェイソン・ライトマン「ずっと、ハロルドのファンだった」と語り、尊敬しながら成長した事を明かしています。
父親のアイバン・ライトマンから「ゴーストバスターズ」という大作を引き継ぎ、「ハロルドならどうするか?」と考えながら脚本を書いたそうです。

作中で、イゴンのゴーストが、フィービーとトレヴァーに何度か手を貸す場面がありますが、これは大作を引き継いだジェイソン・ライトマンの「ハロルド助けて」という思いを映画に込めたのかもしれませんね。

 

ジェイソン・ライトマンは、完成した脚本を、最初にダン・エイクロイドに見せ、気に入ってもらった事で安心したそうです。

 

ゴーストバスターズ/アフターライフ』のラストで「ハロルドに捧ぐ」と出ますが、ここまで本気で捧げた映画を観たのは初めてです。

とにかく、過去作を本気でリスペクトし、愛情をフルに詰め込んだ事はよく分かる『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。

最後に続編を示唆するような映像もありましたが、今後どうなるか?はともかくとして、現時点では何度も言いますが「最高」以外に言葉が見つからない傑作でした!

映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』がボロクソ言われている件について考える

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(C)Resident Evil: Welcome to Raccoon City (2021)

大人気サバイバルホラーゲームを実写映画にした『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』。

バイオハザード」シリーズの映画と言えば、ミラジョヴォヴィッチ版(以下、ジョヴォ版)が過去に制作されていますが、途中から「バイオハザード」という名の、他の何かにしか感じませんでした。

しかし、今回の『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、監督と脚本を担当したヨハネス・ロバーツが、ゲーム版のファンという事で「さぞやゲームに忠実なバイオハザードを映像化してくれるだろう」と期待していましたが、実際の評価はボロクソに言われていますね。


ただ、個人的には「そんなに悪くは無いだろう」と思っておりまして、まだジョヴォ版の時の方がガッカリしたよ、個人的には…ね。

そこで『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』がボロクソ言われている理由について、考えてみたいと思います。


バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』あらすじ
かつて製薬会社「アンブレラ」の拠点となっていた街「ラクーンシティ」。
クレアは「ラクーンシティ」の孤児院で、兄のクリスと共に育った。
だが、孤児院に夜中だけ現れる謎の存在、リサ・トレヴァーとの出会いをキッカケに、孤児院のある秘密を知り「ラクーンシティ」を出ていく。
5年後、クレアは孤児院の秘密を探る為「ラクーンシティ」へ戻ることを決意。
ラクーンシティ」に到着したクレアは、クリスの住む住居を訪ねた。
しかし「ラクーンシティ」に、突如緊急警報が流れる。
緊急警報をキッカケに、豹変を始める街の住人達、一体「ラクーンシティ」に隠された秘密とは?

ボロクソ言われる理由①
キャラクターが全員「お前誰だよ!」
バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ゲームに登場するメインキャラクターが主役になっています。


クリス、クレア、ジル、レオン、ウェスカーと、ゲーム版をプレイをした人にはお馴染みのキャラクターが中心になっており、オリジナルキャラクターを中心に物語が展開したジョヴォ版とは、そこが大きく違います。


ただ、全員に対して「お前誰だよ」と感じてしまうのも事実。

クリスとクレアの兄妹は、まだギリギリOKかなって思う。
ただ、ジルはもう少しゲーム版に似せて欲しかったし、レオンに関しては、ただの役立たずになってしまったのは確かにショックだった。
ウェスカーに関しては、ゲーム版のカッコよさは皆無で、ジルやウェスカーはジョヴォ版の方が良かった。

ただ事前に『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』のポスター見た時から「誰が、誰だ?」って思ってたから、キャラクターが全然違う問題は、個人的には、覚悟してたし、そんなに気にならなかった。

ボロクソ言われる理由②
展開が無茶苦茶
バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ゲームの1作目と2作目を合わせたような内容になっており、1作目の舞台になる洋館「スペンサー邸」と2作目の舞台になる「ラクーンシティ警察署」でのストーリーが同時進行します。


まぁ、シリーズのメインキャラクターを一気に出そうとしたら、その構成になるのは分かるけど、展開がやたら早すぎて強引だから、滅茶苦茶に感じてしまう。

 

ゲーム版を知っていれば、なんとなく納得も出来るかもしれないけど、未プレイの人からすると理解できない展開の連続ではないかと。
特に、脈絡なく墜落するヘリコプターや、クライマックスに唐突に登場する「ロケットランチャー」なんか、ゲーム版知ってても「流石にそれは…」と思いました。

俺の言い分①
それでも「バイオハザード」の世界感は体験できる!
バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』がボロクソ言われる理由について「キャラクターとストーリーがダメ」と、ある種結論が出ましたし、映画にとって致命的ではなかろうかと思いますが、それでも個人的には「ジョヴォ版より上」と言いたい。

 

理由は「『バイオハザード』の世界感は体験できる!」から。


カプコンから設計図を借りて作り出した「スペンサー邸」と「ラクーンシティ警察署」のセットは、ゲーム版を完全再現しようとしてるし「スペンサー邸」での人肉を喰らうゾンビがこっちを振り返る場面や、後半のリッカー登場もゲーム版の印象的な場面を再現しようとしている。

 

間違いなく、ジョヴォ版より「バイオハザード」を作ろうとしているし、「バイオハザード」を体験させようとしている、その熱意は認めるべきだ!

 

俺の言い分②
バイオハザード愛」深きゆえに
前述したように『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』の監督と脚本を手掛けたヨハネス・ロバーツは、バイオハザード愛」が強く「『バイオハザード』は自分の一部」と言っています。

 

映画を観れば分かりますが、ゲーム版の「バイオハザード」の要素をいたるところに入れており、ファンを楽しませようとしたのは事実です。
ただ「かゆうま」みたいに「そこじゃないだろ」的な入れ方をしている部分もあり、上手ではなかったし「じゃあキャラクターもうちょいなんとかならんかったのか?」とも思います。

 

しかし『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』で、ヨハネス・ロバーツが目指したのは「ゲームを意識しつつ、ホラー映画としてバイオハザード』のバランスを成立させる事」。

つまり、前提として「ホラー映画」を製作し、そこにゲームの要素を入れて、ゲームファンを楽しませるという、かなり難しい事に挑んだんです。

 

ヨハネス・ロバーツ「『バイオハザード』の世界に息を吹き込みたかった」という言葉からも分かる通り、「バイオハザード愛」深きゆえに、正直空回りしてしまったのではないかと思います。


それでも、途中から夫婦の飯のタネの為に作っているようにしか見えなかったジョヴォ版より、「バイオハザード」にかける心意気は上だったし、そこは評価したい。

 

結論:続編作れ!
バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、続きがあるような終わり方をしますが、多くの人が「もうねぇよ」と思っているでしょう。


しかし、ヨハネス・ロバーツも今回の反省を活かし、次回は「もう少しゲームに振り切るか?」それとも「ゲームを意識しないか?」という、決断が必要になるはずです。


ヨハネス・ロバーツの「バイオハザード」にかける情熱は、間違いなく本物なので、あえて続編を制作して、次はどうなるか?を見てみたいです。

 

もう1本ぐらいいいだろう?ジョヴォ版の1作目の時に「もういいよ」って思ったけど、6作も続けやがったんだから!

変わり種のホラーって面白いよねって話【個人的3選】

前回『シークレット・マツシタ』について書きましたが、こういった「ドキュメンタリー風のホラー」って大好きだったりします。
近年、変わり種のホラーって多い気がしまして、『シークレット・マツシタ』っぽい変わり種のホラーを、個人的に3つ選んだので紹介します。

『真・鮫島事件』(2020年)

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(C)2020「真・鮫島事件」製作委員会

有名すぎる都市伝説を新解釈!
リモート飲み会をしていた、男女が失踪した事件の全容は?

「鮫島事件」と言えば、2ちゃんねるで2001年頃に話題になった「絶対に語ってはならない内容」の都市伝説で「おっと、誰か来たようだ」でお馴染みですね。
いまだに、冗談だったのか実話だったのか分からないですが、この「鮫島事件」を新たな解釈で映像化したのが、2020年の『真・鮫島事件』です。

 

終始パソコンのモニター画面だけで進行するホラーは、
「コロナ禍の日本」を反映させた?
『真・鮫島事件』の特徴は「リモート飲み会をしていた若者」が主人公なだけに、終始パソコンのモニター画面だけで進行していくホラーと言う部分です。
2014年のホラー映画『アンフレンデッド』に近いですね。

リモート飲み会はコロナ禍で急速に広まりましたが、本作の冒頭で道行く人が全員マスクをしている場面から始まるのですが、2020年11月という公開時期を考えると、「コロナ禍の日本」を反映させた貴重な作品だと思います。

 

後半は謎解き要素を持つ、体験型ホラーに!
『真・鮫島事件』では、「鮫島事件」という言葉そのものを口に出しては駄目で、口に出した途端に何かに襲われて行方不明になります。
リモートで飲み会をしていたメンバーが、1人1人消えていくのは、なかなか怖いですね。
で、事件の起きた廃アパート「白風荘」に助かる可能性がある事が分かり、主人公の菜奈の兄である将輝が、「白風荘」の中を探索する事になります。
将輝をスマホのテレビ電話で繋いだ菜奈は、16枚の写真から「白風荘」の謎を解き明かす必要が出て来るのですが、その間に将輝が何かに追われ続けるという、ゲームの「SIREN」みたいな感じになります。
前半はパソコンのモニター画面だけで進行し、後半は体感型のホラーになるという、なかなか面白い構成の作品ですね。

『真・鮫島事件』は「Netflix」でも配信されてますので、驚愕のラストも含めて、おススメです!

『アントラム/史上最も呪われた映画』(2020年)

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映画『アントラム/史上最も呪われた映画』

観たら死ぬ、呪われた映画が存在する!?
1979年に製作されたと言われる、カルト映画『アントラム』。
この作品を1988年に上映したハンガリーの映画館は、上映中に原因不明の火災が起き、56人が死亡するという悲劇的な事件が発生。
さらに、自身の映画祭で『アントラム』を上映しようとした映画祭の主催者、ジャネット・ヒルバーグは映画を見た24時間後に死亡し、その後も映画祭で上映しようとした主催者が、次々と命を落としている事から、「呪われた映画」と呼ばれるようになりました。

この、実在する(とされる)「呪われた映画」の真相に迫るドキュメンタリーが『アントラム/史上最も呪われた映画』です。

 

「呪われた映画」を、そのまま上映!映画自体は面白くないけど…
『アントラム/史上最も呪われた映画』では、2人のドキュメンタリー作家が苦労して入手した「呪われた映画」を、途中からそのまま上映します。
やめろ!それ見て死んだらどうするんだ!
映画自体は、幼い姉弟が悪魔的な存在に遭遇するという、正直あまり面白くない内容ですが、映像の途中に謎のマークが現れたり、いきなり変な所で終わったり、何かと不安になる内容でした。
観賞して約1年が経ちますが、私は元気です。

 

エンドロールで全てが明かされる「放送禁止」シリーズみたいな構成
『アントラム/史上最も呪われた映画』は、ほとんど「呪われた映画」の上映だけで終わります。
ですが、何故「呪われた映画」と呼ばれるのか?が、エンドロールの何気ないインタビューで明かされるので、最後は背筋が冷たくなりました。
昔、フジテレビの深夜に不定期で放送された「放送禁止」シリーズみたいな構成で、「放送禁止」シリーズ好きな人には本気でオススメしたいです。
Amazonプライムや、ヤフーの映画で有料ですが、見れるみたいです。

『クロニクル』(2013年)

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(C)2011 Twentieth Century Fox

超能力に目覚めた高校生たちの、あまりにも悲しい物語
『クロニクル』は厳密に言うとホラーではなく、SF映画ですが、あまりにも心に突き刺さる内容で「悲しい恐怖」が描かれた作品です。
3人の高校生が、突然、超能力に目覚めるのですが、最初はスカートめくりや、超能力を使ったマジックショーなど、他愛もない事に使います。
ですが、ある事をキッカケに、3人の関係は修復不可能になってしまい、そして悲劇とも呼べる展開になっていきます。

 

登場人物が回すビデオカメラやドライブレコーダーなど、
作中に登場するカメラの映像で物語が展開する!
『クロニクル』の最大の特徴は、作中に登場するカメラの映像だけで物語が展開するという点です。
メインキャラクターの1人、アンドリューは、ビデオカメラで日常風景を撮影している事が趣味にしており、メインは、このアンドリューが記録した映像で物語が進みます。
「超能力に目覚めた高校生」という、ありがちな設定が、手持ちカメラの映像で見ると、妙にリアリティがあるのが凄いですし、アイデアの勝利としか言いようがありません。
特にクライマックスでは、監視カメラの映像を多用し「ある戦い」を見せるのですが、ここは必見ですよ!
「ディズニー+」で配信されているようなので『アキラ』が好きな方には、おススメです。

以上、今もネット配信されている作品を厳選して、ご紹介しました。
ホラー映画って、いろいろやり尽くされている感がありますが、アイデア次第で新鮮に見えるのが面白いですね、でも怖いですね、恐ろしいですね。
また次回!

映画『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』は、どこか勘違いしている日本の要素が、絶妙な恐怖を生み出している

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(C)AV FILMS PERU

ペルー全土150館で公開され、興行成績初登場第1位を記録する大ヒットとなった、映画『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』。


幽霊屋敷と噂される「マツシタ邸」に、撮影目的で入った若者達が「女主人」と呼ばれる、謎の存在に遭遇する恐怖を、手持ちカメラや、設置したカメラで映し出していく、ドキュメンタリー風のホラーです。

 

ドキュメンタリー風と書きましたが、実話らしいです。

 

この『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』、舞台が日系人が住んでいた豪邸という事もあり、ちょくちょく日本の要素が出るのですが、これが絶妙なバランスを生み出している凄い映画なので、ご紹介します。

 

『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』あらすじ
ペルーの首都リマに存在する、幽霊屋敷「マツシタ邸」。
この土地は、「女主人」と呼ばれる魔女の呪いがかかっており、ここに豪邸を建てた日系人のマツシタが、一家を惨殺するという衝撃的な事件が起きた…という噂がある。
卒業制作の為、3人の学生が霊媒師と共に「マツシタ邸」に潜入し、一夜を記録しようとする。

だが、設置したカメラが不気味な存在を捉え、次々に発生する怪奇現象に、3人はだんだん正気を失うようになり…。

 

ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の進化系のようなホラー
ペルーで大ヒットし「失神者を続出させた」と言われている『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』。
2013年9月、ペルーのリマで失踪した若者達が、残した映像が6か月後に見つかり、撮影された映像が公開されたという説明から入る本作。


実話らしいですが、作中で触れられる日系人家族にまつわる事件が、もとになっているようです。


この「マツシタ邸」に、3人の若者が入るのですが、この3人が絶妙に人間関係がギクシャクしており、怪奇現象が起き始めた中盤あたりから、喧嘩を始めます。
ここまでだと、1999年に公開され大ヒットした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を連想する人もいるでしょう。


ですが、本作は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の進化系と呼びたいです。

 

設置したカメラが撮影した「怪奇現象」が絶妙
『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』は、失踪した若者達が残した映像を公開している(という設定?)で、手持ちカメラや、各部屋に設置されたカメラの映像で進んでいきます。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は、手振れが酷く、映像酔いをする人も続出しましたが、『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』は、そこは丁寧に撮影されています。


そして、これらのカメラが「マツシタ邸」に現れる霊の姿などを映し出すのですが、ここでの霊の出現の姿やタイミングが絶妙で「本当にあった呪いのビデオ」シリーズのような、リアリティがあります。

 

霊媒師の存在が絶望的な状況に希望を見せる
『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』は、3人の若者の他に、この「マツシタ邸」に興味を持っていたという、霊媒師も付き添います。
髪を後ろで束ねた、スティーブン・セガールみたいな霊媒師は、序盤では胡散臭い霊媒師ですが、中盤以降では「マツシタ邸」の霊との交信に成功し、ある真実に気付きます。


この真実が、脱出不可能となった「マツシタ邸」から、助かる可能性を感じさせる光になります。


ブレア・ウィッチ・プロジェクト』では、ただただカメラに映された奇怪な映像が流されていましたが、『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』はストーリー性があり、観客を上手く引き付けていきます。

 

衝撃のラスト15分、微妙な日本の要素が恐怖を加速させる?(ネタバレあり)
「マツシタ邸」が舞台になっている事もあり、『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』には、日本の要素が絶妙に取り込まれています。


特に印象的なのは、様々な場所に書かれた「死」の文字。


写真の裏だったり、日本刀だったり、床だったり、いろいろな場所に「死」と書かれています。
日本人なら嫌な予感がしますが、ペルー人には何かのマークにしか見えず、一切気にしない部分も、こちらの不安を掻き立てます。

そして終盤では、若者の1人ヒメナが「女主人」に憑依されてしまうのですが、ある場所に書かれている「死」の文字。
そこ?そこに書くか?と、恐怖と笑いの隙間を見事に突いてくる、どこまでが狙いか分からない、必見の場面となっています!

 

一番怖いのはエンディングテーマ、何の曲で誰が歌ってるの?
このように、絶妙な日本要素が凄い事になっている『シークレット・マツシタ 怨霊屋敷』ですが、個人的に一番不可解だったのがエンドクレジットの際に流れるエンディングテーマでした。


日本人女性が歌う、演歌とも浪曲とも違う、とにかく情念を感じる曲で、一体どこの誰が歌った、何の曲か?本当に分かりませんでした。
歌詞の内容も映画の内容とシンクロする部分があり、妙な不気味さを感じました。
エンドロールにも曲名が表記されていなかった(見逃した?)ので、誰か情報お持ちの方、教えて下さい。
もう一回聞きたいので(笑)。

映画『ハウス・オブ・グッチ』で、唯一いい奴だったのはパオロじゃないか?説を検証する

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現代のファッションブランドの元祖と呼ばれ、誰もが知る世界的な高級ブランド「GUCCI」。
その「GUCCI」にまつわる、一族の確執と没落を描いた、衝撃的な人間ドラマ『ハウス・オブ・グッチ』。

後に「レディ・グッチ」とも呼ばれる、野心家のパトリツィアや、人を経歴だけで判断するロドルフォなど、嫌な奴のオンパレードみたいな映画でした。
では本作に、良心的な人間は出て来ないのか?というと、そうではありません。
パトリツィアに翻弄されるマウリツィオも、確実に「根はいい奴」ですが、本作で唯一いい奴だったのは、パオロ・グッチじゃないか?という部分を検証したいと思います。

映画『ハウス・オブ・グッチ』あらすじ
運輸業を営む父親の会社で働くパトリツィア。
彼女は、あるパーティーで、弁護士を目指すマウリツィオ・グッチと偶然知り合う。
マウリツィオは、富裕層を中心に人気を誇るブランド「GUCCI」の3代目だった。
マウリツィオの真面目で純粋な性格が気に入ったパトリツィアは、偶然を装いマウリツィオに近付き、2人は交際に発展する。
次第に、パトリツィアとの結婚を考えるようになったマウリツィオは、父親で「GUCCI」の経営の中心に携わっている、ロドルフォにパトリツィアを紹介する。
しかし、経歴を重視するロドルフォは、実家が運輸業であるパトリツィアを気に入らず、マウリツィオに別れるように促す。
この事がキッカケで、マウリツィオはロドルフォと絶縁するが、叔父のアルドが、マウリツィオを自身の「GUCCI」の経営に引き込む。
GUCCI」の経営に携わる事に、消極的なマウリツィオと対照的に、パトリツィアの中には野心が芽生えていた。

パオロ・グッチとは?
1980年代の「GUCCI」の社長だったアルド・グッチの息子で、デザイナー。
GUCCI」を富裕層だけではなく、いろいろな人に身に着けてもらう為「低価格で販売する」という思想を持っていました。
ですが、高級思想の「GUCCI」一族から「危険思想を持つ異端児」と見なされ、追放されたという経歴があります。
『ハウス・オブ・グッチ』では、パオロ・グッチをジャレッド・レトが演じています。
小太りの少し情けない容姿のパオロなので、ジャレッド・レトの面影もありませんし、かなりコミカルな演技を見せています。

パオロはデザイナーとして、成功したかっただけじゃないか!
『ハウス・オブ・グッチ』では、パオロは「GUCCI」のデザインに「革新さが必要である」と主張しますが、アルドからは無視をされ続けます。
ならばと、パオロは叔父のロドルフォに、自身のデザイン画を見せますが、めちゃくちゃに罵られます。
ロドルフォの口調は紳士的ですが、発せられる言葉は凶器です。
パオロは、その後にロドルフォがデザインしたスカーフに立小便をしますが、その権利はじゅうぶんにあるでしょう。

その後、独立したパオロですが、デザイナーの仕事は無く、靴下も買えないぐらいの貧困状態に陥ります。
それでも、服のデザインを続ける、一途なパオロ。
そのパオロの想いを利用し、自分の思い通りに操ろうと近付くパトリツィアは、パオロのアトリエを訪ねます。
この場面での、純粋なパオロと野心家のパトリツィアの対比が凄く、パオロが如何にいい奴か?が、ここで分かるでしょう。

パオロは「デザイナーとして成功したい」という純粋な想いを、ただただ抱えていただけなのです。

 

『ハウス・オブ・グッチ』におけるパオロの2大名場面
『ハウス・オブ・グッチ』の後半では、パオロはパトリツィアの策略にハマり、デザイナーとして強制終了させられます。
ですが、それがパオロの2大名場面とも呼べる展開に繋がるので、ご紹介します。

パオロの名場面①
ファッションショーを終了させられ、妻と向き合うパオロ
パオロは、パトリツィアと取引をし、自身のファッションブランドを展開する為のラインを確保します。
その後、パオロがデザインした服でファッションショーが行われるのですが、ここでパトリツィアが「著作権違反」を訴えた為、捜査官がショーの会場に現れ、パオロのファッションショーは強制的に終了となります。
ここで、パオロの妻がショーのパフォーマンスとして歌声を披露していたのですが、捜査官により観客とモデルが追い出され、後ろで演奏していた奏者もいなくなります。
それでも歌い続ける妻が、異変に気付き歌う事を止めたタイミングで、バックヤードにいたパオロと向き合うのですが、この場面のなんとも悲しい事か…。

いよいよ夢への第一歩を踏み出した瞬間にこの仕打ち、この後にパトリツィアとマウリツィオ夫婦を口汚く罵りますが、当然その権利はありますね。

パオロの名場面②
「お前は俺のバカ息子だ」
パオロは、パトリツィアの策略にハマり、父親のアルドが隠していた所得隠しの書類を渡してしまい、アルドは刑務所に入れられます。
1年後に出所したアルドは、住む場所も失い、パオロのアトリエに匿われるのですが、財産を失い妻にも逃げられたパオロは、お金に困っており、保有していた
GUCCI」の株を売却してしまいます。
「やり直すキッカケ」を、完全に失ったアルドは、パオロを罵りますが、最後は抱きしめ「お前はバカ息子だ、だけど俺のバカ息子だ」と伝えます。
何とも感動的な、味わい深い場面でしょうか。

マウリツィオとロドルフォより、確実に父子の絆は上だ!

このように、一族の確執を描いた『ハウス・オブ・グッチ』において、ただただデザイナーとして成功する事を夢見ただけのパオロが、どんなに純粋でいい奴か?が分かりますね。
ただ「GUCCI」の一族には向かなかっただけです。悲しい事に…。