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映画「三度目の殺人」やはりテーマは「家族」だった!?

映画「三度目の殺人」は是枝裕和監督が、福山雅治と「そして父になる」に続き2度目のタッグを組んで制作された法廷サスペンス。
是枝監督は「そして父になる」の他にも「海街ダイアリー」などで「家族」をテーマに映画を制作していた。

今回、初の法廷映画という事で、脚本を300回書き直したという話もあるほどである。

ただ、今回の「三度目の殺人」は、やはりテーマは「家族」ではないかと思う。
ここから、映画のネタバレ全開で考察していきたいと思う。

三度目の殺人」あらすじ
弁護士の重盛(福山雅治)が弁護を頼まれた容疑者三隅(役所広司)は、1人の男性を撲殺、ガソリンをかけ焼き殺した殺人の容疑にかけられていた。
三隅の減刑の為に身辺を調査する重盛は、三隅が殺害した男の娘、山中咲江(広瀬すず)と出会う。
三隅は、殺害した男の娘と面識があり、男の妻とも「例の件お願いします」と書かれたメールのやりとりをしており「保険金殺人」の疑いもかけられるが確証が掴めない。

そして始まった最初の裁判の後に、咲江が事務所を訪れ父親は咲江に性的暴行を繰り返していた事を証言、彼女は裁判で自身の過去を全て話、その上で三隅を救おうと考えていた。
重盛が、その事実を三隅に話すと一転、彼はなんと罪を認めないと言い始めた。最初は否認していた、しかし検事と弁護士両方から認めれば罪は軽くなると言われたと。突然の告白に混乱するも既に進んでいる裁判を途中で辞めることは出来なかった。
裁判は一時的に混乱したが、最終的には三隅の死刑が確定。
重盛は三隅の気持ちを理解しようとするが、結局は何も掴めないままだった。


三隅は咲江の父親になろうとしたのではないか?
この映画の核とも呼べる部分は「供述が何度も変化する容疑者」という部分だと思うが、この供述が変化する理由が、三隅が裁判を混乱させて咲江を守ろうとした為と捉える事が出来る。
では何故、三隅は咲江を守ろうとしたのか?

自身の娘と重ね合わせたのではないか?

娘を守る為に、行き過ぎた行為ではあるが殺人を犯した、そして咲江も、自分を守ってくれた三隅を父親のような存在として感じていたのではないか?

他人同士が血の繋がりを超えた存在になる、これまでの是枝監督作品と共通する!
三姉妹が異母妹と出会い、家族になっていく「海街diary」、血の繋がりが無い息子との問題に向き合い、父親として成長し、家族の絆を強くなる「そして父になる」と、是枝監督は、他人同士が、血の繋がりを超えた存在になる作品を制作してきた。

今回の「三度目の殺人」も、法廷サスペンスという是枝監督としては初めて手掛けるジャンルではあるが、やはり根底にあったのは、他人同士が血の繋がりを超えた存在になる事で、三隅と咲江は親子のような関係になったのではないか。

殺人の動機も真相も、劇中では核心に触れないが「娘を守ろうとした父親」の物語として観ると、いろいろと納得出来てしまう映画だった。