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映画『牛首村』は、村シリーズトップクラスの後味の悪さが魅力!「可哀そうよね?」についても考察してるからネタバレ記事になります

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(C)2022「牛首村」製作委員会

2020年の『犬鳴村』、2021年の『樹海村』に続く「恐怖の村シリーズ」第3弾の『牛首村』。
個人的に『樹海村』が今一つだったので、『牛首村』も観に行くか迷っていたんですが、最恐クラスの心霊スポットとして有名な「坪野鉱泉」でロケを行ったと聞いて、どんなもんか?と観て来ました。

結果的に、村シリーズの中でもトップクラスの後味が悪い作品でしたが、かなり好きな映画だったので、本作の魅力についてご紹介します。


ラストシーンで何が起きたか?も考察してるので、ネタバレ含んでます。

 

『牛首村』あらすじ
心霊スポットとして有名な、富山県の「坪野鉱泉」。
ここに、動画撮影の為に訪れた女子高生が、行方不明になる事件が起きる。
東京で暮らす女子高生の奏音は、動画に映った女子高生が自分にそっくりだった事が気になり、同級生の蓮と共に「坪野鉱泉」を訪れる。
しかし、その場所は奏音に因縁の深い場所で、やがて奏音は導かれるように「牛首村」に足を踏み入れてしまう。


『牛首村』のここが怖い①
北陸を代表する2大心霊スポット「坪野鉱泉」と「宮島隧道」が登場!


『牛首村』は、富山県にある心霊スポットとして名高い「坪野鉱泉」から始まります。
村シリーズでは、お馴染みのユーチューバー大谷凜香演じるアキナが、「坪野鉱泉」に潜入しライブ中継を始めるのですが、アキナって『犬鳴村』と『樹海村』で、毎回死んでなかったっけ?

アキナの件はさておき、この「坪野鉱泉」は、作中では現世と「牛首村」を繋ぐ場所として何度も登場しますが、現在は立ち入り禁止になっている、実際の「坪野鉱泉」の内部で、本作は撮影を敢行しています。


「坪野鉱泉」は、いろいろといわくつきの場所で、ネットで検索すれば情報が出ますが「白い車で行ってはいけない」や「ドアを見つけても開けてはならない」「決して一人きりになってはいけない」などのルールがあり、地元では「絶対に近付いてはいけない場所」とされています。

 

あの、霊能力者として有名だった宜保愛子も、中に入る事を拒否したという話がありますから、そうとうヤバい場所なんでしょうね。
その「坪野鉱泉」の内部が見れる、これだけでも『牛首村』は、心霊好きには見逃せない作品ですよ。

 

さらに、富山県と石川県の県境に位置する心霊スポット「宮島隧道」も登場します。
首の無い地蔵が安置されているこのトンネルは、別名が「牛首トンネル」と呼ばれており、かなり不吉な場所として登場します。

 

『牛首村』のここが怖い②
「双子」「牛の首」「村の風習」など、民間伝承的な恐怖が凄い


『牛首村』で、重要なワードとなるのが「双子」。
かつて、日本では双子は「不吉の象徴」とされた時代があり、作中でも「忌み子」「畜生腹」など、凄い言葉が飛び出します。


奏音の祖父母が生まれた村では、7歳になると、双子の片方に「牛の首」を被せ、村人が神様に返す為、そのまま穴の中に落として殺すという、恐ろしい「村の風習」がありました。

 

『牛首村』の恐怖の源は、この「村の風習」から生まれた「ある存在」によるものなのです。

 

前作の『樹海村』が「都市伝説的な恐怖」であれば『牛首村』は「民間伝承的な恐怖」とも呼べるもので、『犬鳴村』に近い作風になっています。

 

『牛首村』のここが怖い③(ネタバレ含む)
全ては綾子の呪い?「可哀そうよね?」は何を意味している?


『牛首村』の物語の主軸は「奏音の妹、詩音の行方」と「誰が、何の為に詩音を連れ去ったのか?」という部分です。
その正体は、前述した風習により、穴に落とされて以降も、怨霊となって生き続けた綾子の力です。
綾子は奏音と詩音の祖母の妹で、7歳の時に間違えて穴に落とされたという、可哀そうな女性です。

 

本作のクライマックスでは、詩音を助け出した奏音が、綾子から逃げながら「牛首村」から脱出するのですが、助かったと思ったら、村シリーズトップクラスの、後味の悪いエンディングに繋がります。

 

最後に、詩音が母親と、首無し地蔵をお参りするのですが、ここで実は詩音の体に綾子が入っていた事が分かります。
詩音に憑依した綾子の、最後のセリフ「可哀そうよね」は、「牛首村」から脱出する際に、奏音が綾子に言った「1人じゃ可哀そう」にかかっています。

 

では、詩音の魂はどうなったのかと言うと、綾子に襲われた際に綾子の体に入ってしまったのでしょう。
つまり、綾子の体に入ってしまった詩音の魂は「牛首村」の山奥の穴の中で、1人になっているのです。
綾子の、最後のセリフ「可哀そうよね」は、詩音の魂に向けられたセリフでしょう。

めちゃくちゃ怖いわ!

 

笑いと恐怖の狭間を目指す、清水崇監督の演出も注目
『牛首村』は、これまで「恐怖の村シリーズ」を手掛けてきた、清水崇が監督を続投しています。
清水崇監督と言えば「笑いと恐怖は紙一重」と語っており、これまでの作品も、1つ間違えると笑えてしまう、ギリギリのラインで恐怖演出を作り出しており、その奇妙な演出は、清水崇監督ならではと言えます。

 

『牛首村』も、綾子に呪い殺される対象が、鏡に映った際に、牛の首を被った姿になるのですが、これは1つ間違えると「めちゃイケ」で、岡村隆史がよくやっていたような、馬の被り物をつけて笑いをとる、バラエティ的な場面になってしまいます。

 

ですが、そこは絶妙なバランスで、きっちり「怖い場面」にしているので、流石としか言いようがありません。


また、個人的に気になったのが、奏音がバイトをしている喫茶店に、清水崇監督作の『ホムンクルス』っぽい人がいるので、そういった「お遊び」も探してみると楽しいと思います。

 

いや、楽しい映画じゃないんですけど。