まこちゃの、考える映画ブログ

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「ゲームを原作にした日本の映画って、傑作が無いよね?」とふと考えてみる

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(C)2007「龍が如く」フィルムパートナーズ

先日、ラジオ番組を聞いていたら「ゲームを原作にした映画総選挙」みたいな企画をやっていてスーパーマリオ 魔界帝国の女神』とか『ストリートファイター』とか、結構な映画が紹介されていました。

特に『ストリートファイター』は、当時天狗になっていたジャン=クロード・ヴァン・ダムが、出演に関して高額なギャラを要求しといて、全くヤル気が無かったそうです。
確かに、全く演技ってものをしていなかった気がする。

で、そのラジオを聞いててですね、ふと思ったんですよ。
「ゲーム原作の映画って、日本も酷いよね」と。

そこで、ガッカリした思い出のある、ゲームを原作にした日本の映画3作品をご紹介します。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画①
弟切草』(2001年)

1998年に映画『リング』が大ヒットし社会現象になった事をキッカケに、いわゆる「Jホラー」が大量生産されていた時代がありました。
映画『弟切草』も、その流れで制作された奥菜恵主演の映画で、原作のゲームは、小説を読みながら分岐点を自分で選び、真実のラストを見つけ出すという、サウンドノベルと呼ばれるジャンルで、この流れから後に名作『かまいたちの夜』が誕生します。

映画の『弟切草』は、古い洋館に迷い込んだカップル、双子の謎、不気味な絵画など、一応ゲーム版の要素を入れています。
ですが、なんとなく安っぽい感じがしてですね、テレビで流す2時間ドラマと、クオリティが変わらないのです。

そして結末ですが、これまで見て来た古い洋館での不気味な出来事は、全てゲーム内のシナリオだったという『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年)みたいなオチになっています。

一応、最後に奥菜恵演じる主人公が、作った覚えの無いシナリオが勝手にゲームに入っているという、ホラーっぽい感じで終わりますが「どこが弟切草じゃーい!」と叫びたくもなる内容でした。

そして、エンドロールで唐突に流れる、THE YELLOW MONKEYの「GIRLIE」。
イエモンの大ファンなので、腰から力が抜けるほどのショックを受けたのを、今でも忘れない。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画②
『サイレン〜FORBIDDEN SIREN〜』(2006年)

ホラーゲーム『SIREN』を2006年に実写映画にした『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』。
原作になったゲーム『SIREN』と言えば、屍人というゾンビのような存在から逃げ回り、島から脱出を目指すという内容で、CMがインパクトありすぎて、放送禁止になったのは有名な話。

その『SIREN』を、それなりの予算をかけて、面と向かって向き合って、誠意を込めて映像化すれば、日本独特の恐怖を持った、一味違うゾンビ映画に確実になったはずなのですが、監督が!あの!堤幸彦

2006年と言えば、堤幸彦は「ケイゾク」や「トリック」をヒットさせて、乗りに乗っている時期でした。
そんな堤幸彦が、ゲームを反映させた内容にする訳もなく、一応ゲームの『SIREN2』をベースにして、一応屍人も出て来ますが、当たり前のように設定や登場人物を大きく変更しています。

そして、ラストは、主人公の由貴が精神に異常をきたしており、全ては幻想だったという『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』みたいなオチになっています。

エンドロール後に、完全におかしくなった由貴が、村人を次々に惨殺するシルエットで映画が終了しているので、完全な夢オチじゃないですが、『SIREN』題材にして、これは本当にもったいない…と心から思いました。

また、エンディングテーマの「SIREN」を石野卓球が手掛けていますが、電気グルーヴの大ファンなので、腰から力が抜けるほどのショックを受けたのを、今でも忘れない。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画③
龍が如く 劇場版』(2007年)

ここまでホラー映画を紹介しましたが、続いては『龍が如く 劇場版』です。
原作になったゲーム『龍が如く』は、義理と人情を重んじる男、桐生一馬を主人公にしたアクションRPGで、まるで任侠映画を見ているような、作り込まれたストーリーとムービーが魅力の、現在も根強い人気を持っているシリーズです。

その『龍が如く』を映画化すると聞いた時、桐生一馬を演じる北村一輝が、ゲーム版にそっくりだったので、それなりに期待していました。
ゲーム版の人気キャラ「真島の兄さん」こと、真島吾朗を演じる岸谷五朗が、徹底的な役作りを見せ、「真島の兄さん」を完全再現しており、期待はさらに膨れ上がりました。

膨れ上がったのですが…、本作の監督が三池崇史と聞いて、嫌な予感がしたんですよ。
三池崇史監督は、個人的に嫌いじゃないですが、1998年に、当時の人気アイドルだったSPEED主演の映画『アンドロメディア』の監督を「SPEED?知ってるよ。4人ぐらいのグループでしょ?」というノリで受けた事からも分かる通り、よく分かっていないのに仕事を受けるところがあります。

龍が如く』に関しても、ゲームを知らないのにオファーを受け、仕事が決まってから3日かけて一応クリアしたという、付け焼刃っぷり。
嫌な予感がしたまま映画を観てみると、ゲームの設定はあまり変更する事はなく、ゲーム版を意識した内容になっており、夢オチでもないので『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』よりは良かったと思います。

ですが…どことなく感じる、やっつけ仕事な感じ。

この作品に関しては、最初から嫌な予感がしていたので、別にショックは受けてないですが、ただ「こちらの嫌な予感を越えてほしかった」という気持ちにはなりました。


ガッカリ系ゲーム原作の日本映画を振り返ってみて
今回は、ガッカリしたゲーム原作の日本映画を3つ紹介しましたが、やはり感じるのは「何か流行ってるし、このゲームでも映像化してみるか」という、企画した側の「軽いノリ」もっと言えば「愛の無さ」です。

海外では、ゲームを映画化する際に、クオリティコントロールがされるようになり『アンチャーテッド』のような作品が誕生しています。

日本も、自国の素晴らしいゲーム作品にちゃんと向き合って、映画化に挑戦してみてはもらえないものでしょうか?
特に『SIREN』は、本当にゲーム版を分かっている監督に、再度挑戦してほしい作品ではあります。