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『KKKをぶっ飛ばせ!』はタランティーノ作品が好きな人には、めちゃくちゃオススメできるのはないか?

(C)DARK TEMPLE MOTION PICTURES

現在も存在する、秘密結社「KKKクー・クラックス・クラン)」。
白人至上主義を掲げる、この「KKK」に、黒人の姉弟が戦いを挑む、バイオレンス・アクション映画『KKKをぶっ飛ばせ!』。
勢いのある邦題からも分かりますが、とにかく派手で刺激の強い作品で、股間を焼かれたり、潰されたりという泥沼の戦いが繰り広げられます。
とにかく刺激の強い作品なので、万人にオススメは出来ませんが(見て欲しいけど)ただ、間違いなくタランティーノ作品が好きな人には、ハマる映画ではないかと思いますので、その理由を考えていきます。


KKKをぶっ飛ばせ!』あらすじ
1971年のアメリカ・テネシー州
強盗の容疑で投獄されていたブランドンは脱走し、姉のアンジェラと兄のクラレンスに助けを求める。
駆け付けたアンジェラとクラレンスは、郊外の廃墟に隠れ家を用意し、隠してあった武器と共に、ブランドンを2週間匿うことにした。
その夜、女性の悲鳴に気付いたブランドンが、外の様子を伺うと、白い頭巾に白装束を身に着けた集団が、黒人女性を生贄に捧げる、謎の儀式を行っていた。
ブランドンが、その女性を助けた事により、秘密結社「KKK」の標的にされてしまう。
当初は逃げようとしたブランドンだったが、クラレンスが「KKK」の餌食にされた事で怒りが爆発、アンジェラと共に「KKK」への復讐を開始する。


「黒人の臭いを嗅ぎつけ、黒人の肉を食べる」恐怖の集団「KKK

本作に登場する秘密結社「KKK」は、白人至上主義を掲げ、有色人種を差別する集団として、世界中に知られています。(秘密結社なのに…)
2015年にハッカー集団の「アノニマス」が、「KKK」の支持者約1000人を公開したり、2017年に「KKK」が公開集会を行い大混乱が起きたり(秘密結社なのに…)と、度々現在も話題になっています。
特に映画としては、2018年に公開された映画『ブラック・クランズマン』で「KKK」が描かれており、高い評価を得た事で記憶に新しいですね。
そんな「KKK」ですが、『KKKをぶっ飛ばせ!』に出て来る「KKK」は、「黒人の臭いを嗅ぎつけ、黒人の肉を食べる」集団となっており、どちらかというと、差別主義というより、食人鬼としての恐怖が前面に出ていて、まぁ一言で表現すると変態の集まりになっています。

 

素人同志の泥沼の戦い

黒人の肉を食べる「KKK」に、兄を殺されたブランドンとアンジェラが、復讐の為の戦いを繰り広げるのですが、前述したように、股間を焼かれたり、潰されたりというだけでなく、内臓を取り出して口の中に入れたりと、かなり刺激の強い表現が特徴的です。
さらに、特筆すべき点として「KKK」側もブランドン側も、殺しの素人なので、かなり生々しい泥沼の戦いが繰り広げられます。
前半は不意打ちの連続で、「KKK」を次々に血祭りにしていくブランドンですが、中盤で登場する「KKK」の援軍、ゲーターとの真っ向勝負は、かなり苦戦します。
とはいえ、ゲーターも殺しの素人なので、お互い勝負が付きそうで付かないという、要領を得ない戦いが続きます。
ここに「KKK」のリーダーと思われる、デルマーが現れた事で、泥沼の戦いは底なしになっていきます。
この、底なし沼の戦いを通して、不条理としか言えない差別主義を掲げる「KKK」に、絶対に負けられないという、ブランドンの執念が伝わってきます。

 

『ジャッキーブラウン』+『イングロリアス・バスターズ』的な作品

かなり刺激の強い映画『KKKをぶっ飛ばせ!』ですが、音楽や演出はかなりカッコ良く、明らかに1970年代前半に登場した映画ジャンル「ブラックスプロイテーション」を意識した作品になっています。
ブラックスプロイテーション」へのオマージュ作品と言えば、1997年のタランティーノ作品『ジャッキー・ブラウンを連想する人も多いのではないでしょうか?
そして、同じタランティーノ作品で、差別主義者が敵となる作品と言えば、ナチスとの戦いを描いた、2009年の『イングロリアス・バスターズ』があります。
イングロリアス・バスターズ』は、後半ナチス側が、めちゃくちゃにされる展開となりますが、タランティーノ「こんな奴等には、何をやってもいいんだ!」という想いが伝わります。
KKKをぶっ飛ばせ!』も、めちゃくちゃにされる「KKK」への「こんな奴等には、何をやってもいいんだ!」感が強い作品です。
なので、『ジャッキーブラウン』+『イングロリアス・バスターズ』のテイストを持ったのが『KKKをぶっ飛ばせ!』という作品で、両作品が好きな方、タランティーノ作品が好きな方には、堪らない映画ではないでしょうか?