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Netflixで話題沸騰の台湾発のホラー映画『呪詛』と、あの有名Jホラーの共通点を探る(ネタバレあり)

(C)2022 Netflix

2022年7月8日にNetflixで配信が開始され、日本でも話題となっている台湾発のホラー映画『呪詛』。
台湾ホラーって結構、珍しい気がしますが、一体何が日本人の心を掴んでいるのでしょうか?
実際に観てみると、ある有名Jホラーとの共通点が浮かび上がりました。

映画『呪詛』あらすじ
カメラに向かって語りかける女性、ルオナン。
彼女は、6年前のある出来事から、呪いの恐怖に怯えていました。
ルオナンは、自分の娘を守る為、一時期は里親に出していましたが、あらためて一緒に暮らす決意をします。
娘との新生活を記録する為に、カメラを回し始めたルオナン。
そこには、おぞましい呪いの惨劇が記録されており…。

現代と6年前の出来事が、同時進行する構成

『呪詛』は映画開始と共に、主人公のルオナンが観客に語りかけて来る、なかなか特殊な始まり方をします。

ルオナンは、この映画を観るにあたり、ある「符号」を覚え「呪文」を唱える事をススメて来ます。

この「符号」と「呪文」の秘密は、ラストで明かされます。

で『呪詛』の内容ですが、ある事がキッカケで呪いにかかってしまったルオナンが、一度は里親に出していた娘のドォドォと、新たな生活を始めようとする「現代の出来事」と、そもそもの呪いの起源である「6年前の出来事」が交差しながら、物語が進んでいきます。

「現代の出来事」では、理不尽にすら感じる呪いの恐怖が、「6年前の出来事」で呪いの起源が徐々に明かされる事によって「呪いの理由」が判明する構成です。

まぁ「何故呪われたのか?」を一言で表せば、完全に若気の至りです。

「現代パート」に感じる、あの有名Jホラーとの共通点

『呪詛』の「現代の出来事」は、呪いの力でおかしくなったドォドォを救う為、ルオナンが道士たちの力を借りて戦うという内容です。

一時期、ドォドォの養父になっていたミンも、呪いの秘密を解明しようと協力しますが、呪いの力により殺されてしまいます。

この、呪われてしまったドォドォを、母親のルオナンと、養父のミンが救おうとする構図は、1998年の大ヒットJホラー『リング』の、浅川玲子と高山竜司、その子供の陽一と関係性が似ています。

また「現代の出来事」は、母娘の親子の愛が前面に描かれています。

『呪詛』が日本で高い人気を得たのは、日本人が慣れ親しんできた、Jホラーに雰囲気が近い事から、すんなりと受け入れる事が出来たのが要因ではないでしょうか?

「符号」と「呪文」の意味は?呪いを回避する方法は?(完全にネタバレ)
物語が進むにつれて、呪いの元凶が明かされていくのですが、その鍵を握るのが「地下道の映像」

ラスト30分で、この「地下道の映像」が明かされるのですが、やはり若気の至りが原因だった事が分かります。

そして、ルオナンは呪いを回避する方法を見つけます

それは、呪いを他人に伝染させるという方法で、オープニングで登場した「符号」と「呪文」は、呪いを伝染させる儀式に必要だったのです。

つまり、映画を観ていた観客は、最後の最後にルオナンから呪いを伝染させられてしまい「傍観者かと思ったら。当事者になった」という事になる訳ですね。

ちなみに、映画版の『リング』も、呪いから逃げるには、ダビングした呪いのビデオを他人に見せて、呪いを伝染させる必要がありました。

『呪詛』では、呪いの伝染先が、作中の人物ではなく、観客本人になるという、なかなか面白い仕掛けになってますね。

で、面白いの?
なかなか特殊な構成の『呪詛』ですが、面白いか?と言うと、個人的には「微妙」でした。
まず、「現代の出来事」と「6年前の出来事」が交差する構成ですが、物語に集中してると、急に話が切り替わる為、ついていくのが大変でした。

また「現代の出来事」は母娘の愛がメイン「6年前の出来事」は密教の恐怖がメインなので、話が切り替わる度に、こちらの頭を切り替えないといけません。

思うんですが「現代の出来事」が終わって「6年前の出来事」で全てが明かされるという、普通に2部構成で良かったような気がします

また、恐怖演出も、急に血がドバドバと出て来たり、ゾンビみたいな演出もあり、何となく全体の雰囲気に合わない恐怖演出が、もったいなかった気がします。

特に「地下道の映像」は「引っ張った割にはこれ?」と感じました

そして、最後の最後で明かされる、本作の仕掛けは非常に面白いのですが、そこに辿り着くまでが長い気がしました。

あと、めちゃくちゃ怖いか?と言うとそうでも無いと思うので、寝る前にあえて観てみてはいかがでしょうか?