まこちゃの、考える映画ブログ

少し前の映画とか、最近の映画とかについて語るブログ

映画『シン・ウルトラマン』の○○が○○だったの、凄いモヤモヤしてるから書き綴ってみる(ただの感想・ネタバレ有り)

(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

庵野秀明が企画・脚本・総監修、樋口真嗣が監督という『シン・ゴジラ』のタッグが、日本を代表する特撮ヒーローの、新たな映像化に挑んだ『シン・ウルトラマン』。
シン・ゴジラ』が日本中を巻き込んだ、一大旋風を起こしたこともあり、期待感も高かった事から、今年1番の盛り上がりを見せている『シン・ウルトラマン』。

令和の時代に、ウルトラマンが初めて出現したという世界なんですが、どうしても納得いかずモヤモヤしている部分があり、凄いモヤモヤしてるから書き綴ってみます。超ネタバレです。

 

ウルトラマンファンの心を鷲掴みにするオープニング

本作のオープニングは、『シン・ゴジラ』というタイトルが変化し『シン・ウルトラマン』というタイトルになるという、テレビ版で『ウルトラQ』から『ウルトラマン』に変化していく、有名なオープニングへのオマージュとなっています。
その後に、日本に突然現れた「禍威獣(カイジュウ)」の説明に入るんですが、ここで登場するのは『ウルトラQ』に出て来る怪獣達。
せっかくだから、ぺギラとの戦いとか映像化してほしいな。
そこから「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」が設立されるまでが、凄い速さで紹介されます。
おそらく、まともに読ませる気が無いだろ?というぐらい、凄い速さで紹介されます。

 

ネロンガガボラ「禍威獣(カイジュウ)」との戦い
本作で、地球に来たウルトラマンが最初に戦うのが、ネロンガ
言わずと知れた透明怪獣ですが、「ベムラーじゃないのか?」と少しガッカリしました。

ですが、最初に登場したウルトラマンは、銀色のボディが美しく、動き方も本当に宇宙人っぽくて良かったです。
ネロンガ倒した後に、ガボラと戦うのですが、ここで出すウルトラマンの正拳突きはカッコ良かった!

 

ニセウルトラマンに、悪質宇宙人、この流れも良かった

「禍威獣(カイジュウ)」との戦いを前半で見せた後、中盤は外星人との戦いになります。
ここで「人類を越えた能力を持つウルトラマンは、実は危険な存在じゃないか?」という話になっていきます。
ニセウルトラマンとか、ちょっと展開が早い気がしたけど、ウルトラマン知らない人は、どう感じたんだろう?
ニセウルトラマンの正体、ザラブ星人との夜の街での戦いは、テレビ版のバルタン星人戦のオマージュのように感じました。
ザラブ星人の後は、ウルトラマンの中でも人気の高い、悪質宇宙人ことメフィラス星人
テレビ版で、女性隊員のフジ隊員がメフィラス星人によって巨大化されたのを、長澤まさみで再現したのは素晴らしいの一言で、称賛に値します。
ウルトラマンメフィラス星人も「よそう、ウルトラマン」と、名台詞も再現されていて良かった。
個人的に、ここで終わっても文句なかった。

 

さぁ問題、○○が○○したのが○○だった!(ネタバレ)
個人的にメフィラス星人まで良かったよ。
ただ、ゼットンが地球を滅ぼす兵器って、しかもその兵器を使うのがゾーフィって。
いや「宇宙人ゾーフィ」のネタは知ってるよ?誰よりも早くウルトラ怪獣図鑑を出そうとした出版社の、有名な失敗でしょ?
ゾーフィだから、ゾフィーとは違うんだろうけど、でも何かモヤモヤしたんですよ。
あと、ゼットン出すなら、兵器じゃなくて宇宙恐竜として、そのまま出して欲しかった。
1兆度の炎を吐く生物が「禍威獣(カイジュウ)」という世界観に合わないのは分かるけど、ウルトラマンゼットンを、普通に見たかったなぁ。
また、クライマックスだけど、そこは人間の力で何とかしてほしかったなぁ。
結局ウルトラマン頼みのような気がして、残念でした。

現時点で、まだ1回しか見てない感想を書き綴りましたが、何度か見ると新たな発見がある作品のようなので、もう5回は見ようと思います。
好きか嫌いかで言うと、大好きです。
特にメフィラス星人のエピソードは面白かったです。本当にただの感想です。

映画『死刑にいたる病』の榛村みたいな、人心掌握系のサイコパスが怖い映画3選(ネタバレ無し)

(C)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会

白石和彌監督が、櫛木理宇の原作小説を映画化した『死刑にいたる病』。
24人もの殺人を犯した榛村大和(はいむらやまと)から、たった1件の冤罪事件を証明する事を託された、大学生の筧井雅也(かけいまさや)が、次第に社会の闇に飲まれる衝撃作です。

本作で特徴的なのは、家庭や社会にコンプレックスを抱いた人間の、人心を掌握し意のままに操る榛村というキャラクターです。
榛村役の阿部サダヲが、感情を失ったような、爬虫類を思わせる不気味な榛村を演じており、同じ白石和彌監督作品の『彼女がその名を知らない鳥たち』で演じた、陣冶とは違う、恐ろしさがあります。

榛村のような、いわゆる「人心掌握系のサイコパス」映画はいくつかあり、日本映画独特の恐怖がそこにあると思うので、近年の話題作を3本ご紹介します。

『凶悪』(2013年)

(C)2013「凶悪」製作委員会

最初に紹介するのは、同じ白石和彌監督作品の『凶悪』。
面会室が物語の鍵になっていたり、死刑囚に振り回される主人公という構図が、『死刑にいたる病』と似ていますが、事件の被害者目線で物語が進む『死刑にいたる病』と対照的に、犯罪者目線で物語が進むのが『凶悪』の特徴です。

気に入らない人間を次々に「ぶっこむ(殺す)」ヤクザの須藤も怖いですが、本当に怖いのは、須藤の人心を掌握し、自分は手を汚さずに犯罪を進める「先生」こと木村です。

リリー・フランキーが演じる先生は、見た目は細身で一見紳士的に見えますが、人を殺す事に何の罪悪感も抱いていないサイコパスです。
特に牛場悟に、死ぬほど日本酒を飲ませる場面で見せる、内面に潜ませた異常性は鳥肌ものです。
この木村が、最後に「凶悪」と呼ぶ存在、それはここまで映画を楽しんでいた観客に向けられており、傍観者が当事者になる恐怖が凄まじい作品で、最後の最後に先生に心を掌握されたような感覚になります。

 

クリーピー 偽りの隣人』(2016年)

(C)2016「クリーピー」製作委員会

 

今や世界的な活躍を見せる黒沢清監督が、前川裕の小説「クリーピー」を映像化した本作。
本作に登場する西野は、一見すると気弱で腰が低いという印象で、人に警戒心を抱かせずに、心に入り込むあたりは『死刑にいたる病』の榛村に近いですね。

この作品が恐ろしいのは、いつの間にか西野のペースになっていて、主人公の高倉が、気付けば西野と一蓮托生の状態にされている事です。
黒沢清監督は『CURE』(1997)でも、異常者により、いつの間にか破壊された日常を描いており、高く評価されました。
黒沢清監督の演出力と、西野を演じる香川照之の演技力、この2つが合わさった異常な世界観は一見の価値ありです。

 

『愛なき森で叫べ』(2019)

(C)Netflix 愛なき森で叫べ

最後は、2019年にNetflixで配信された『愛なき森で叫べ』。
本作に登場する村田丈が、映画製作に打ち込む若者達の人心を掌握し、めちゃくちゃにしていきます。
注目なのは、村田丈が相手を洗脳する時の手口で、最初に相手の全てを否定し、恫喝し、相手が自信を失ったところで「俺だけはお前を認めている」と、急に相手に寄り添うというものです。
相手を認めて寄り添い、人心を掌握する手口は、榛村と一緒ですが、その前に恫喝して相手の思考を停止させるのが特徴です。

村田丈はどこか変なキャラクターで、数々のキラーワードを作中で連発しているので、そこも注目してください。

『凶悪』『クリーピー 偽りの隣人』『愛なき森で叫べ』の3本をご紹介しましたが、恐ろしいのがこの3本は実際の事件をモデルにしているという点です。

人心掌握系のサイコパス映画が、日本独自の恐怖を持っているのは、それだけ今の日本が、病的であるという事なのかもしれませんね。

『ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』はMCUでサム・ライミがホラー魂を炸裂させた凄い映画!(ネタバレ無し)

(C)Marvel Studios 2022

MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)において、最強の魔術師であり天才外科医のドクター・ストレンジ
2016年に第一作目が公開されて以降『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』など、MCUの重要作に登場している、中心的なキャラクターです。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、1人でサノスと互角にやりあう実力を見せつけ「2作目は何と戦うんだ?」と思ったものですが、ストレンジシリーズの正当な続編『ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』が、公開となりました!

事前の予想通り、さまざまなサプライズのあった作品ですが、主演のベネディクト・カンバーバッチが「ネタバレ言っちゃダメ」と言っているので、今回はその辺には触れません。

ただ、本作の最大のサプライズは監督がサム・ライミという事でしょう!
MCU初のホラー」とも噂された『ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』は、キッチリとサム・ライミ印の作品に仕上がっていたので、内容には一切触れずに、そこだけ紹介します。

死霊のはらわた』シリーズでお馴染みの、コミカルなホラーが得意なサム・ライミ

ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』の監督であるサム・ライミは、1981年に公開された映画『死霊のはらわた』が大ヒットし、長らくカルト映画界で、絶大な人気を誇る監督でした。
その後『死霊のはらわた』シリーズや『ダークマン』など「怖いんだけど、どこかツッコミどころがあって面白い」独特の作風の映画を作り続けます。

ホラーだけでなく『クイック&デッド』や『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』など、ホラー以外の作品も高い評価を得るようになりますが、世界的にその名が知れ渡ったのは2002年に公開され、その後もシリーズ化された『スパイダーマン』でしょう。
今では考えられませんが、当時は鼻で笑われる事が多かった「アメコミ原作映画」。

しかし「スパイダーマン愛」を爆発させ、根性で大ヒット作品に導き、この『スパイダーマン』がキッカケで、アメコミ人気が再発したという話もあります。
スパイダーマン』シリーズで、大成功したサム・ライミですが、その後の2009年に『スペル』というカルト的な雰囲気のホラー映画を監督しており「やっぱり、ここに戻って来るんだなぁ」と思ったものです。
もう二度とアメコミ原作の作品は手掛けないかと思いましたが、まさかのMCU作品、まさかのストレンジ!
「こんなサプライズがあるかよ!」と嬉しかったのと「一体どうなるんだ?」と不安な気持ちが入り混じりました。

MCU初のホラーダークファンタジー、こんなのストレンジじゃないと成立しないよ!

前作のストレンジも「アストラル体」とか、いきなり出て来る「ドルマムゥ」など、現実から離れながらも、なんとか理解できるギリギリの世界が広がっていました。
続編の『ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』ですが「ダークホールド」を巡る戦いが描かれています。
ダークホールド」は、禁断の魔術書と呼ばれている危険な書物で、これを奪う為に「ドリーム・ウォーク」を駆使して戦うという、今回は完全に現実世界から離れた、ダークファンタジーとなっています。
そこに、マルチバースも絡んでくるので「何か良く分からないけど、凄い世界」が広がっています。
「誰かに殺される夢を見た」事は、誰でも経験があると思いますが「その夢は別の宇宙で起きた現実なのでは?」という話になってくるので、かなりホラーの要素も強いです。
MCUのフェーズ4の核とも言えるマルチバーズの世界ですが、ここまでガッツリと描けるのは、魔術師でファンタジーな世界観を持つ、言ってしまえば「何でもあり」のストレンジの世界でないと無理だったでしょう。

今回のヴィランが本気でホラー!クライマックスの展開がマジでサム・ライミ

MCU初のホラーダークファンタジードクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』のヴィランですが、MCUではお馴染みの、あのキャラクターが、ストレンジと戦う事になります。
このキャラクターの、ある能力により、この作品のホラー色が爆上がりしてますよ!
さらに、クライマックスの、ある悪趣味とも呼べる展開!「これこそサム・ライミ作品!」と叫びたくなるような。素晴らしい展開でした!

このように、サム・ライミ監督作の『ドクター・ストレンジ/マルチバースオブマッドネス』は、MCUの中でもかなり異質の作品に仕上がっています。
賛否ありそうですが、サム・ライミファンは間違いなく楽しめるでしょう。
もう少し時間をおいて、ネタバレに触れた感想を書きますが、シリーズはもう少し続きそうですね。

『KKKをぶっ飛ばせ!』はタランティーノ作品が好きな人には、めちゃくちゃオススメできるのはないか?

(C)DARK TEMPLE MOTION PICTURES

現在も存在する、秘密結社「KKKクー・クラックス・クラン)」。
白人至上主義を掲げる、この「KKK」に、黒人の姉弟が戦いを挑む、バイオレンス・アクション映画『KKKをぶっ飛ばせ!』。
勢いのある邦題からも分かりますが、とにかく派手で刺激の強い作品で、股間を焼かれたり、潰されたりという泥沼の戦いが繰り広げられます。
とにかく刺激の強い作品なので、万人にオススメは出来ませんが(見て欲しいけど)ただ、間違いなくタランティーノ作品が好きな人には、ハマる映画ではないかと思いますので、その理由を考えていきます。


KKKをぶっ飛ばせ!』あらすじ
1971年のアメリカ・テネシー州
強盗の容疑で投獄されていたブランドンは脱走し、姉のアンジェラと兄のクラレンスに助けを求める。
駆け付けたアンジェラとクラレンスは、郊外の廃墟に隠れ家を用意し、隠してあった武器と共に、ブランドンを2週間匿うことにした。
その夜、女性の悲鳴に気付いたブランドンが、外の様子を伺うと、白い頭巾に白装束を身に着けた集団が、黒人女性を生贄に捧げる、謎の儀式を行っていた。
ブランドンが、その女性を助けた事により、秘密結社「KKK」の標的にされてしまう。
当初は逃げようとしたブランドンだったが、クラレンスが「KKK」の餌食にされた事で怒りが爆発、アンジェラと共に「KKK」への復讐を開始する。


「黒人の臭いを嗅ぎつけ、黒人の肉を食べる」恐怖の集団「KKK

本作に登場する秘密結社「KKK」は、白人至上主義を掲げ、有色人種を差別する集団として、世界中に知られています。(秘密結社なのに…)
2015年にハッカー集団の「アノニマス」が、「KKK」の支持者約1000人を公開したり、2017年に「KKK」が公開集会を行い大混乱が起きたり(秘密結社なのに…)と、度々現在も話題になっています。
特に映画としては、2018年に公開された映画『ブラック・クランズマン』で「KKK」が描かれており、高い評価を得た事で記憶に新しいですね。
そんな「KKK」ですが、『KKKをぶっ飛ばせ!』に出て来る「KKK」は、「黒人の臭いを嗅ぎつけ、黒人の肉を食べる」集団となっており、どちらかというと、差別主義というより、食人鬼としての恐怖が前面に出ていて、まぁ一言で表現すると変態の集まりになっています。

 

素人同志の泥沼の戦い

黒人の肉を食べる「KKK」に、兄を殺されたブランドンとアンジェラが、復讐の為の戦いを繰り広げるのですが、前述したように、股間を焼かれたり、潰されたりというだけでなく、内臓を取り出して口の中に入れたりと、かなり刺激の強い表現が特徴的です。
さらに、特筆すべき点として「KKK」側もブランドン側も、殺しの素人なので、かなり生々しい泥沼の戦いが繰り広げられます。
前半は不意打ちの連続で、「KKK」を次々に血祭りにしていくブランドンですが、中盤で登場する「KKK」の援軍、ゲーターとの真っ向勝負は、かなり苦戦します。
とはいえ、ゲーターも殺しの素人なので、お互い勝負が付きそうで付かないという、要領を得ない戦いが続きます。
ここに「KKK」のリーダーと思われる、デルマーが現れた事で、泥沼の戦いは底なしになっていきます。
この、底なし沼の戦いを通して、不条理としか言えない差別主義を掲げる「KKK」に、絶対に負けられないという、ブランドンの執念が伝わってきます。

 

『ジャッキーブラウン』+『イングロリアス・バスターズ』的な作品

かなり刺激の強い映画『KKKをぶっ飛ばせ!』ですが、音楽や演出はかなりカッコ良く、明らかに1970年代前半に登場した映画ジャンル「ブラックスプロイテーション」を意識した作品になっています。
ブラックスプロイテーション」へのオマージュ作品と言えば、1997年のタランティーノ作品『ジャッキー・ブラウンを連想する人も多いのではないでしょうか?
そして、同じタランティーノ作品で、差別主義者が敵となる作品と言えば、ナチスとの戦いを描いた、2009年の『イングロリアス・バスターズ』があります。
イングロリアス・バスターズ』は、後半ナチス側が、めちゃくちゃにされる展開となりますが、タランティーノ「こんな奴等には、何をやってもいいんだ!」という想いが伝わります。
KKKをぶっ飛ばせ!』も、めちゃくちゃにされる「KKK」への「こんな奴等には、何をやってもいいんだ!」感が強い作品です。
なので、『ジャッキーブラウン』+『イングロリアス・バスターズ』のテイストを持ったのが『KKKをぶっ飛ばせ!』という作品で、両作品が好きな方、タランティーノ作品が好きな方には、堪らない映画ではないでしょうか?

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は異質の作風ながら、実はド直球の「ヒーロー映画」なんじゃないかとか考える(超ネタバレあり)

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(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

何度も公開延期を繰り返し(仕方ないですが…)いよいよ公開された、バットマン映画の新作『THE BATMANザ・バットマン-』。

バットマン映画は、2008年に一大ブームを巻き起こした『ダークナイト』の印象が強いですが、『THE BATMANザ・バットマン-』はバットマンを始めて2年目のブルースを主人公に、リドラーが仕掛けた謎に挑む、かなりサスペンス色の強い作品になっています。

新たな方向性が打ち出された『THE BATMANザ・バットマン-』。

しかし、その内容を考えると、込められたメッセージは「ヒーロー映画の王道」とも呼べる内容で、2019年に公開され、これまた一大ブームを巻き起こした『ジョーカー』への、強烈なアンサーだったのでは?と感じましたので、深掘りしていきたいと思います。

『THE BATMANザ・バットマン-』あらすじ

犯罪都市ゴッサムシティ。
過去に両親を殺された過去を持つ、ブルース・ウェインは「恐怖」の力で街を抑制する事を決意。
「恐怖」の象徴である、バットマンとして、人知れず街を守っていた。
バットマンとしての戦いを始めた2年目に、街の権力者が次々に殺される事件が発生、背後にいるのは「リドラー」と名乗る、知能犯の存在だった。
リドラー」を追い詰めようとするブルースは、次第に自らの過去と対峙するようになる。

何者にもなれていないブルースの苦悩

バットマンと言えば、アメコミの代表的なヒーローで、あまりアメコミを知らない人達でも、一度は聞いた事があるビッグネーム。
主人公のブルース・ウェインは、昼間は青年実業家、夜はバットマンとして悪と戦うという、限られた人間にしか正体を知られていない、孤独なヒーローという印象が強いです。
これまでのバットマン映画は、だいたい、この設定が反映されていました。

ですが『THE BATMANザ・バットマン-』の、若き日のブルースは、昼間は青年実業家どころか、ほとんど外に出ません。
たまに街に出たら、マスコミが騒ぐ程なので、そうとうな引きこもりです。
ブルースは屋敷に閉じこもり、バットマンの活動を維持する為に親の財産を使っているという、これまでのバットマン映画とは違う、斬新な描かれ方がされています。

また、バットマンも2年目なので、いまいちゴッサムシティに浸透しておらず、警察に「怪しい奴」扱いをされたり、悪党の前に現れても半笑いで挑まれるなど、正直なめられた存在になっています。

犯罪抑止の為に、バットマンとして悪党に「恐怖」を与えたいが、なかなか思うようにいかず、ヒーローになり切れていない。
それが『THE BATMANザ・バットマン-』のバットマンであり、ブルース・ウェインなのです。

知能犯リドラーとの戦いに込められた『ジョーカー』への強烈なアンサー(ネタバレ)

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(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

これまでとは違うキャラクターとして描かれるバットマン
そのバットマンと戦うのは、知能犯リドラーです。
リドラーは、バットマンを代表する悪役で「リドル(なぞなぞ)」を出すのが大好きなキャラクターで、映画『バットマン フォーエヴァー』やドラマ『GOTHAM/ゴッサム』にも登場しています。

『THE BATMANザ・バットマン-』では、法廷会計士のエドワード・ナッシュトンがリドラーの正体です。
ここまでバットマンは、リドラーにいいように振り回され、なかなか正体に迫る事が出来なかったのですが、結構あっさりエドワードは逮捕されます。
ですが、これもエドワードの計画の1つでした。

エドワードは、早くに親を亡くした孤児で、両親を亡くしたという点ではブルースと同じ。
ですが、屋敷から出なくても注目されているブルースとは違い、エドワードの存在は誰も知りません。
まるで最初から存在しなかったように…。

この「存在しない者達」が集結し、言わば「リドラー」という組織のようになります。
クライマックスでは、この「存在しない者達」とバットマンの戦いが描かれるのですが、「存在しない者達」の反乱と言えば『ジョーカー』のクライマックスもそうでしたね。

『ジョーカー』では、自分を馬鹿にしたテレビの人気司会者を撃ち殺した、主人公のアーサー・フレックが、抑圧されたゴッサムシティのカリスマとなり、暴動の象徴となります。
『ジョーカー』では「存在しない者達」視点でしたが、『THE BATMANザ・バットマン-』では、「存在しない者達」と対峙するブルースの視点。
ゴッサムシティが、さらに混沌に陥り、秩序が崩壊する事を食い止めます。

そしてラストでは、市民を救助するバットマンの姿が、大きく報道され、バットマンは真のヒーローとなっていきます。

『ジョーカー』が大ヒットした2019年は『パラサイト 半地下の家族』が話題になり、その前年の2018円は『万引き家族』が大ヒット「抑圧された、存在しない者達」の怒りや、やるせなさを描いた作品が多かったです。
その為、『ジョーカー』のクライマックスは、めちゃくちゃ強烈でしたが、『THE BATMANザ・バットマン-』では「それでは何も解決しない」と問題定義をしています。

全ての人間が認め合い、互いの意見を聞き、反映する事で作り出される「秩序」。
「それこそが理想である」と語りかけるような『THE BATMANザ・バットマン-』のメッセージは、『ジョーカー』へのアンサーとも受け取れます。
『THE BATMANザ・バットマン-』は、これまでにとは違う引きこもりのブルースや、新たな解釈のリドラーによるサスペンス強めの作風など、いわゆる「ヒーロー映画」とは違う、異質の雰囲気を持っていますが、込められたメッセージはド直球の「ヒーロー映画」だと感じました。

「ゲームを原作にした日本の映画って、傑作が無いよね?」とふと考えてみる

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(C)2007「龍が如く」フィルムパートナーズ

先日、ラジオ番組を聞いていたら「ゲームを原作にした映画総選挙」みたいな企画をやっていてスーパーマリオ 魔界帝国の女神』とか『ストリートファイター』とか、結構な映画が紹介されていました。

特に『ストリートファイター』は、当時天狗になっていたジャン=クロード・ヴァン・ダムが、出演に関して高額なギャラを要求しといて、全くヤル気が無かったそうです。
確かに、全く演技ってものをしていなかった気がする。

で、そのラジオを聞いててですね、ふと思ったんですよ。
「ゲーム原作の映画って、日本も酷いよね」と。

そこで、ガッカリした思い出のある、ゲームを原作にした日本の映画3作品をご紹介します。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画①
弟切草』(2001年)

1998年に映画『リング』が大ヒットし社会現象になった事をキッカケに、いわゆる「Jホラー」が大量生産されていた時代がありました。
映画『弟切草』も、その流れで制作された奥菜恵主演の映画で、原作のゲームは、小説を読みながら分岐点を自分で選び、真実のラストを見つけ出すという、サウンドノベルと呼ばれるジャンルで、この流れから後に名作『かまいたちの夜』が誕生します。

映画の『弟切草』は、古い洋館に迷い込んだカップル、双子の謎、不気味な絵画など、一応ゲーム版の要素を入れています。
ですが、なんとなく安っぽい感じがしてですね、テレビで流す2時間ドラマと、クオリティが変わらないのです。

そして結末ですが、これまで見て来た古い洋館での不気味な出来事は、全てゲーム内のシナリオだったという『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年)みたいなオチになっています。

一応、最後に奥菜恵演じる主人公が、作った覚えの無いシナリオが勝手にゲームに入っているという、ホラーっぽい感じで終わりますが「どこが弟切草じゃーい!」と叫びたくもなる内容でした。

そして、エンドロールで唐突に流れる、THE YELLOW MONKEYの「GIRLIE」。
イエモンの大ファンなので、腰から力が抜けるほどのショックを受けたのを、今でも忘れない。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画②
『サイレン〜FORBIDDEN SIREN〜』(2006年)

ホラーゲーム『SIREN』を2006年に実写映画にした『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』。
原作になったゲーム『SIREN』と言えば、屍人というゾンビのような存在から逃げ回り、島から脱出を目指すという内容で、CMがインパクトありすぎて、放送禁止になったのは有名な話。

その『SIREN』を、それなりの予算をかけて、面と向かって向き合って、誠意を込めて映像化すれば、日本独特の恐怖を持った、一味違うゾンビ映画に確実になったはずなのですが、監督が!あの!堤幸彦

2006年と言えば、堤幸彦は「ケイゾク」や「トリック」をヒットさせて、乗りに乗っている時期でした。
そんな堤幸彦が、ゲームを反映させた内容にする訳もなく、一応ゲームの『SIREN2』をベースにして、一応屍人も出て来ますが、当たり前のように設定や登場人物を大きく変更しています。

そして、ラストは、主人公の由貴が精神に異常をきたしており、全ては幻想だったという『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』みたいなオチになっています。

エンドロール後に、完全におかしくなった由貴が、村人を次々に惨殺するシルエットで映画が終了しているので、完全な夢オチじゃないですが、『SIREN』題材にして、これは本当にもったいない…と心から思いました。

また、エンディングテーマの「SIREN」を石野卓球が手掛けていますが、電気グルーヴの大ファンなので、腰から力が抜けるほどのショックを受けたのを、今でも忘れない。

 

ガッカリ系ゲーム原作の日本映画③
龍が如く 劇場版』(2007年)

ここまでホラー映画を紹介しましたが、続いては『龍が如く 劇場版』です。
原作になったゲーム『龍が如く』は、義理と人情を重んじる男、桐生一馬を主人公にしたアクションRPGで、まるで任侠映画を見ているような、作り込まれたストーリーとムービーが魅力の、現在も根強い人気を持っているシリーズです。

その『龍が如く』を映画化すると聞いた時、桐生一馬を演じる北村一輝が、ゲーム版にそっくりだったので、それなりに期待していました。
ゲーム版の人気キャラ「真島の兄さん」こと、真島吾朗を演じる岸谷五朗が、徹底的な役作りを見せ、「真島の兄さん」を完全再現しており、期待はさらに膨れ上がりました。

膨れ上がったのですが…、本作の監督が三池崇史と聞いて、嫌な予感がしたんですよ。
三池崇史監督は、個人的に嫌いじゃないですが、1998年に、当時の人気アイドルだったSPEED主演の映画『アンドロメディア』の監督を「SPEED?知ってるよ。4人ぐらいのグループでしょ?」というノリで受けた事からも分かる通り、よく分かっていないのに仕事を受けるところがあります。

龍が如く』に関しても、ゲームを知らないのにオファーを受け、仕事が決まってから3日かけて一応クリアしたという、付け焼刃っぷり。
嫌な予感がしたまま映画を観てみると、ゲームの設定はあまり変更する事はなく、ゲーム版を意識した内容になっており、夢オチでもないので『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』よりは良かったと思います。

ですが…どことなく感じる、やっつけ仕事な感じ。

この作品に関しては、最初から嫌な予感がしていたので、別にショックは受けてないですが、ただ「こちらの嫌な予感を越えてほしかった」という気持ちにはなりました。


ガッカリ系ゲーム原作の日本映画を振り返ってみて
今回は、ガッカリしたゲーム原作の日本映画を3つ紹介しましたが、やはり感じるのは「何か流行ってるし、このゲームでも映像化してみるか」という、企画した側の「軽いノリ」もっと言えば「愛の無さ」です。

海外では、ゲームを映画化する際に、クオリティコントロールがされるようになり『アンチャーテッド』のような作品が誕生しています。

日本も、自国の素晴らしいゲーム作品にちゃんと向き合って、映画化に挑戦してみてはもらえないものでしょうか?
特に『SIREN』は、本当にゲーム版を分かっている監督に、再度挑戦してほしい作品ではあります。

映画『牛首村』は、村シリーズトップクラスの後味の悪さが魅力!「可哀そうよね?」についても考察してるからネタバレ記事になります

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(C)2022「牛首村」製作委員会

2020年の『犬鳴村』、2021年の『樹海村』に続く「恐怖の村シリーズ」第3弾の『牛首村』。
個人的に『樹海村』が今一つだったので、『牛首村』も観に行くか迷っていたんですが、最恐クラスの心霊スポットとして有名な「坪野鉱泉」でロケを行ったと聞いて、どんなもんか?と観て来ました。

結果的に、村シリーズの中でもトップクラスの後味が悪い作品でしたが、かなり好きな映画だったので、本作の魅力についてご紹介します。


ラストシーンで何が起きたか?も考察してるので、ネタバレ含んでます。

 

『牛首村』あらすじ
心霊スポットとして有名な、富山県の「坪野鉱泉」。
ここに、動画撮影の為に訪れた女子高生が、行方不明になる事件が起きる。
東京で暮らす女子高生の奏音は、動画に映った女子高生が自分にそっくりだった事が気になり、同級生の蓮と共に「坪野鉱泉」を訪れる。
しかし、その場所は奏音に因縁の深い場所で、やがて奏音は導かれるように「牛首村」に足を踏み入れてしまう。


『牛首村』のここが怖い①
北陸を代表する2大心霊スポット「坪野鉱泉」と「宮島隧道」が登場!


『牛首村』は、富山県にある心霊スポットとして名高い「坪野鉱泉」から始まります。
村シリーズでは、お馴染みのユーチューバー大谷凜香演じるアキナが、「坪野鉱泉」に潜入しライブ中継を始めるのですが、アキナって『犬鳴村』と『樹海村』で、毎回死んでなかったっけ?

アキナの件はさておき、この「坪野鉱泉」は、作中では現世と「牛首村」を繋ぐ場所として何度も登場しますが、現在は立ち入り禁止になっている、実際の「坪野鉱泉」の内部で、本作は撮影を敢行しています。


「坪野鉱泉」は、いろいろといわくつきの場所で、ネットで検索すれば情報が出ますが「白い車で行ってはいけない」や「ドアを見つけても開けてはならない」「決して一人きりになってはいけない」などのルールがあり、地元では「絶対に近付いてはいけない場所」とされています。

 

あの、霊能力者として有名だった宜保愛子も、中に入る事を拒否したという話がありますから、そうとうヤバい場所なんでしょうね。
その「坪野鉱泉」の内部が見れる、これだけでも『牛首村』は、心霊好きには見逃せない作品ですよ。

 

さらに、富山県と石川県の県境に位置する心霊スポット「宮島隧道」も登場します。
首の無い地蔵が安置されているこのトンネルは、別名が「牛首トンネル」と呼ばれており、かなり不吉な場所として登場します。

 

『牛首村』のここが怖い②
「双子」「牛の首」「村の風習」など、民間伝承的な恐怖が凄い


『牛首村』で、重要なワードとなるのが「双子」。
かつて、日本では双子は「不吉の象徴」とされた時代があり、作中でも「忌み子」「畜生腹」など、凄い言葉が飛び出します。


奏音の祖父母が生まれた村では、7歳になると、双子の片方に「牛の首」を被せ、村人が神様に返す為、そのまま穴の中に落として殺すという、恐ろしい「村の風習」がありました。

 

『牛首村』の恐怖の源は、この「村の風習」から生まれた「ある存在」によるものなのです。

 

前作の『樹海村』が「都市伝説的な恐怖」であれば『牛首村』は「民間伝承的な恐怖」とも呼べるもので、『犬鳴村』に近い作風になっています。

 

『牛首村』のここが怖い③(ネタバレ含む)
全ては綾子の呪い?「可哀そうよね?」は何を意味している?


『牛首村』の物語の主軸は「奏音の妹、詩音の行方」と「誰が、何の為に詩音を連れ去ったのか?」という部分です。
その正体は、前述した風習により、穴に落とされて以降も、怨霊となって生き続けた綾子の力です。
綾子は奏音と詩音の祖母の妹で、7歳の時に間違えて穴に落とされたという、可哀そうな女性です。

 

本作のクライマックスでは、詩音を助け出した奏音が、綾子から逃げながら「牛首村」から脱出するのですが、助かったと思ったら、村シリーズトップクラスの、後味の悪いエンディングに繋がります。

 

最後に、詩音が母親と、首無し地蔵をお参りするのですが、ここで実は詩音の体に綾子が入っていた事が分かります。
詩音に憑依した綾子の、最後のセリフ「可哀そうよね」は、「牛首村」から脱出する際に、奏音が綾子に言った「1人じゃ可哀そう」にかかっています。

 

では、詩音の魂はどうなったのかと言うと、綾子に襲われた際に綾子の体に入ってしまったのでしょう。
つまり、綾子の体に入ってしまった詩音の魂は「牛首村」の山奥の穴の中で、1人になっているのです。
綾子の、最後のセリフ「可哀そうよね」は、詩音の魂に向けられたセリフでしょう。

めちゃくちゃ怖いわ!

 

笑いと恐怖の狭間を目指す、清水崇監督の演出も注目
『牛首村』は、これまで「恐怖の村シリーズ」を手掛けてきた、清水崇が監督を続投しています。
清水崇監督と言えば「笑いと恐怖は紙一重」と語っており、これまでの作品も、1つ間違えると笑えてしまう、ギリギリのラインで恐怖演出を作り出しており、その奇妙な演出は、清水崇監督ならではと言えます。

 

『牛首村』も、綾子に呪い殺される対象が、鏡に映った際に、牛の首を被った姿になるのですが、これは1つ間違えると「めちゃイケ」で、岡村隆史がよくやっていたような、馬の被り物をつけて笑いをとる、バラエティ的な場面になってしまいます。

 

ですが、そこは絶妙なバランスで、きっちり「怖い場面」にしているので、流石としか言いようがありません。


また、個人的に気になったのが、奏音がバイトをしている喫茶店に、清水崇監督作の『ホムンクルス』っぽい人がいるので、そういった「お遊び」も探してみると楽しいと思います。

 

いや、楽しい映画じゃないんですけど。