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映画史上最高齢殺人鬼が大暴れなホラー映画『X エックス』ここまで「老い」を残酷に表現した映画も凄い!(ネタバレあり)

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1979年のテキサスを舞台に、映画撮影に泊まった牧場で、3組のカップルがとんでもない恐怖に遭遇するホラー映画『X エックス』
『へレディタリー/継承』『ミッドサマー』など、話題のホラー作品を世に放ってきた、新進気鋭のスタジオ「A24」の最新作『X エックス』は、映画史上最高齢の殺人鬼が登場する事で、公開前から一部で話題になっていました

ただ、実際に作品を観てみると、老いていく事への、容赦ない残酷表現が印象的で、間違いなく周囲の、お爺ちゃん、お婆ちゃんの見る目が変わるでしょう。

今回は『X エックス』の魅力を、ネタバレ込みでご紹介します。

『X エックス』あらすじ

1979年のテキサス。
女優のマキシーンと、その恋人で自称敏腕プロデューサーのウェインは、映画の撮影で人里離れた牧場へと向かっていました。
映画の撮影の為に、ブロンドが印象的な女優のボビー・リンと、ベトナム帰還兵で俳優のジャクソン、新人映画監督のRJと、その恋人で録音担当のロレインも、マキシーン達に同行します。
3組のカップルが宿泊する小屋を管理する、牧場主である老人のハワードは、3組のカップルを最初から煙たがっていました。
そして、ハワードの妻、老婆のパールは、マキシーン達を窓ガラスの向こうから見つめています。
ハワードに内緒で、ポルノ映画の撮影を始めたマキシーン達ですが、それは惨劇の始まりでもありました。

「ポルノ」と「ホラー」が熱かった70年代後半

『X エックス』の舞台は、1979年。
主人公であるマキシーンは、恋人のウェイン達と、映画の撮影に向かう所から、物語が始まります。
ただ、マキシーン達が撮影するのはポルノ映画。
それも、牧場主のハワードから借りた小屋で、承諾なしに勝手に撮影を始めます。

本作の舞台となっている70年代後半は、ポルノ映画が熱かった時代で『X エックス』のHPによると、作中で撮影されているポルノ映画は、実在するようです。

そして、ある事がキッカケで、ハワードとパールの史上最高齢殺人鬼による恐怖が始まりますが、1974年の『悪魔のいけにえ』1960年の『サイコ』1980年の『シャイニング』と、往年のホラー映画へのオマージュが満載となっています。

「老い」を受け入れられない、悲しみと恐怖の老婆「パール」

本作最大の特徴は、映画史上最高齢の殺人鬼である、ハワードとパールの存在です。
特に恐ろしいのが、老婆のパール。
若い頃は美人ダンサーだったみたいですが、年老いた現在は、若い時の面影は残っていません。

それでも、気持ちは若いパールは、マキシーン達カップルが訪れた事で、若い時の血が騒ぎます。
パールはマキシーンに近付いた後に、RJを誘惑しますが拒絶され、この辺で何か弾けたように、次々に若者に襲いかかります。

そして、パールを止めたいハワードも、事の元凶となっている若者達を次々に殺害。
更に、ロレインも地下に閉じ込めるなど、凶行に走ります。

結構、ショッキングな展開が続きますが、個人的にパールがハワードをベッドに誘った後の展開。
これをどう捉えるか?で、作品の評価が大きく決まるのではないでしょうか?

「希望的な未来しかない若者」と「絶望的な現実しかない老婆」の残酷すぎる対比

(ネタバレあり)
本作のクライマックスで、ある理由で心臓発作を起こしたハワードは亡くなり、マキシーンとパールが対峙する形となります。
ここでパールは「私はお前の未来の姿」と言いますが、マキシーンは「私には希望的な未来しかない」と反論します。

人里離れた牧場で、人生の終わりを迎えるという「絶望的な現実」しかないパールにとって、輝かしい未来だけを信じているマキシーンは、嫉妬の対象となります。

ですが、こればかりは、もうパールにとって変える事の出来ない、仕方が無い現実です。

若者と老婆の残酷な対比が印象的ですが、実はマキシーンとパールは、主演のミア・ゴスが1人2役で演じており、輝かしい未来を信じるマキシーンも、未来の姿がパールになる可能性があるという「老い」の恐怖を浮き彫りにさせる仕掛けがされています。

3部作らしいよ

本作のエンドロール後に、若い時のパールを主役にした映画の予告編が流れます
これを見る限り、若い時のパールは既にやばい人だったようですが、なんと『X エックス』は3部作構想らしいです

マキシーンも何か訳アリのようなので、今後『X エックス』という作品が、どこに向かうのか?非常に興味がありますね。