2022年は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を筆頭に『ザ・バットマン』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』など、さまざまなアメコミ映画が公開待機中です。
ただ、ここで2021年を振り返り、個人的に最高だったと思うアメコミ映画『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』について考えてみたいと思います。
『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』あらすじ
刑務所の中で、退屈な時間を過ごし、嫌気がさしている接近戦の達人であるサバント。
彼は、退屈な毎日から抜け出す為に、危険な任務を遂行する代わりに、自らの刑期を軽減する取引を交わし「タスク・フォースX」に参加する。
通称「ザ・スーサイド・スクワッド(自殺志願者)」と呼ばれる部隊には、指揮を担当するエリート軍人、リック・フラッグの下に、サバントの他にも受刑者が参加していた。
サバントは「タスク・フォースX」のメンバーと共に、極秘任務を遂行する為、海岸から潜入。
だが、パラシュートで降下した際に、泳げないウィーゼルが海に落ちて溺れて死亡。
さらに、ブラック・カードが裏切り、敵の組織に情報を漏らしていた為、待ち伏せ攻撃を受けてしまう。
嵐のような銃攻撃の中で、T.D.K、キャプテン・ブーメラン、ブラック・カードが次々に命を落としていく。
ジャベリンも体を撃ち抜かれ、近くにいたハーレイ・クインに「この槍を、渡してくれ」と遺言を残しますが「どこの?誰に?」という情報が無かった為、ハーレイ・クインは困惑。
目の前で「タスク・フォースX」のメンバーが次々に命を落とす光景を目の当たりにしたサバントは、任務から逃走。
指令室から戦況を見ていた「タスク・フォースX」の責任者ウォラーは、サバントが逃げた事に怒り、サバントに埋め込んでいた爆弾を爆発させる。
「タスク・フォースX」のメンバーは、全員が体に小型爆弾を埋め込まれており、任務を放棄したりウォラーに逆らった瞬間に、爆発する仕組みになっていた。
リック・フラッグやハーレイ・クインが人質にされ、舞台は壊滅状態。
絶体絶命に思えたが、実はリック・フラッグが指揮ていた舞台は「Aチーム」で、他の場所から「Bチーム」が上陸していた。
2016年の『スーサイド・スクワッド』は、正直厳しい内容だったよね
DCコミックの悪役が集結し、遂行不可能なミッションに挑む『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』。
2021年版の前に、 ウィル・スミス主演で2016年にも『スーサイド・スクワッド』が製作されています。
マーゴット・ロビー演じる、ハーレイ・クインという人気キャラクターこそ出て来ましたが、ただ作品全体で言うと厳しい内容でした。
理由は、いろいろありますが、当時の「DCエクステンデッド・ユニバース」が、それぞれの作品が関連していく内容だった為、敵が後の『ジャスティス・リーグ』に繋がるような、魔女だか怪物だったかで、とにかく「悪人が結集したチーム」が霞んでしまったのが原因だと思われます。
中途半端にジョーカーが出て来たのも、首を傾げるしかなかったしね。
その後『ジャスティス・リーグ』が失敗した事で、「DCエクステンデッド・ユニバース」は、それぞれ独立した作品となっていきます。
そして誕生したのが『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』です。
炸裂する「ジェームズ・ガンらしさ」
『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』の脚本と監督は、ジェームズ・ガン。
MCUの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの監督ですが、ある出来事が理由で外されてしまい(その後に復帰)、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』を手掛けました。
ジェームズ・ガンは「悪魔の毒々モンスター」シリーズなどの悪趣味映画(いい意味)で、知られる「トロマ・エンターテインメント」で、映画作りを学びました。
そして『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』では「トロマ魂」とも呼べる、悪趣味やバカ展開が炸裂しています。
それは、今回の主役と思われた「スーサイド・スクワッド」のメンバーが、次々に死んでいき、無残な死体と共に映画が始まる、オープニングでよく分かると思います。
その後も、中盤でブラッドスポートとピースメーカーが殺した数を競いだしたり、ハーレイ・クインの奪還計画に動いた時には、すでにハーレイ・クインが逃げ出していたりと、とにかく「おバカな展開」が続きます。
ちなみに、本作に登場する二足歩行のサメ「キング・シャーク」は、シルベスター・スタローンが声を出しています。
ジェームズ・ガンは、スタローンに「あなたの為に考えたキャラだ」と伝えたそうですが、スタローンはどんな気持ちだったのでしょうね。
一番大切なメッセージを、最悪の光景で見せる!(ネタバレあり)
とにかく、個性的な悪役が「おバカな展開」を見せる『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』ですが、作中に現代社会へのメッセージをキッチリと入れています。
本作のクライマックスで、怪獣スターロ大王が出現し、街を破壊し始めます。
軍の攻撃も通用せず、小型の分身で人間を襲う、恐ろしい怪獣に対抗する手段がありません。
ですが、「スーサイド・スクワッド」のメンバー、ラットキャッチャー2が操るネズミの大群が、スターロ大王を倒すのです。
小さく力の無いネズミでも、協力すれば巨大な怪物も倒せるという、とても道徳的な展開…ですが、映像ではスターロ大王に、凄まじい数のネズミの大群が押し寄せ、スターロ大王の目の中に入り神経を噛み切るという、結構最悪に近い光景が広がります。
ネズミが苦手な人は直視できないでしょう。
でも、込められたメッセージは道徳的、このギャップがたまりません。
『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』は、興行的に厳しかったようなので、ジェームズ・ガンの「スーサイド・スクワッド」は、これっきりかもしれませんが、多くの人に見てほしい、とにかく楽しい作品でした。