まこちゃの、考える映画ブログ

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『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の予告に、シュマゴラス出てたよね?

 

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「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM3」公式サイトより

 

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の上映終了後に流れていた、『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』の予告映像。


マルチバース」の扉を開いてしまった、ドクター・ストレンジの、その後が描かれた作品のようです。
監督がサム・ライミという事もあり、前評判通りホラー要素の強い、ダークな雰囲気が興味深い。
など、いろいろ思いながら見ていたら、途中でドクター・ストレンジと戦っている、タコのような一つ目のキャラクターを確認。

シュッ!シュマゴラスじゃないか!

マーベルでも、一部の人間しか知らないと言われていたシュマゴラス
シュマゴラスは「ドクター・ストレンジ」に登場する、カオスディメンションの神。
見る者が恐怖を感じる外観に姿を変えるというヴィランで、ピンク色や緑色のタコの姿で知られています。


ただ、このシュマゴラスは「ドクター・ストレンジ」にも、数回しか登場しておらず、マーベルの副社長すら、その存在を把握していなかったらしい。
しかし、日本ではゲーム好きを中心に広く知られている。それは何故か?

カプコン格闘ゲームではお馴染みのシュマゴラス
シュマゴラスが広く日本で知られるようになったのは、1995年の格闘ゲームマーヴル・スーパーヒーローズ」に登場した事がキッカケ。
ゲームを開発したカプコンが「このキャラクターを使いたい」と、マーベルに交渉した際「こんなキャラクターは知らない」と、マーベル側が混乱したという噂があります。
ゲーム内のシュマゴラスは、語尾に「しゅ」と付けるなど、カプコン側がキャラクターを広げた為、結果的に愛されキャラとなり、2016年の「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM3」にも登場しています。

今回の登場は日本へのサービスか?
とにかく、マーベルの副社長でも知らなかったレベルのキャラクターが、『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』に登場する事は確実で、これはカプコンが、日本にシュマゴラスを周知させたお陰じゃないか?と勝手に妄想してしまいます。
もっと言うと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の公開が遅れ、ファンの不満が溜まった日本へのサービスじゃないかとすら思ってしまいます。

まぁ、そんな事は無い訳ですが(笑)

ただ、シュマゴラスとストレンジの戦いが、実写で見れるだけでも期待が高まりますね。

2021年最高のアメコミ映画だった『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』の、どこが良かったかを考える

 

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(C)2021 WBEI TM & (C)DC

2022年は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を筆頭に『ザ・バットマン』や『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』など、さまざまなアメコミ映画が公開待機中です。


ただ、ここで2021年を振り返り、個人的に最高だったと思うアメコミ映画『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』について考えてみたいと思います。

 

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』あらすじ

刑務所の中で、退屈な時間を過ごし、嫌気がさしている接近戦の達人であるサバント。
彼は、退屈な毎日から抜け出す為に、危険な任務を遂行する代わりに、自らの刑期を軽減する取引を交わし「タスク・フォースX」に参加する。

通称「ザ・スーサイド・スクワッド(自殺志願者)」と呼ばれる部隊には、指揮を担当するエリート軍人、リック・フラッグの下に、サバントの他にも受刑者が参加していた。
サバントは「タスク・フォースX」のメンバーと共に、極秘任務を遂行する為、海岸から潜入。
だが、パラシュートで降下した際に、泳げないウィーゼルが海に落ちて溺れて死亡。
さらに、ブラック・カードが裏切り、敵の組織に情報を漏らしていた為、待ち伏せ攻撃を受けてしまう。
嵐のような銃攻撃の中で、T.D.K、キャプテン・ブーメラン、ブラック・カードが次々に命を落としていく。
ジャベリンも体を撃ち抜かれ、近くにいたハーレイ・クインに「この槍を、渡してくれ」と遺言を残しますが「どこの?誰に?」という情報が無かった為、ハーレイ・クインは困惑。
目の前で「タスク・フォースX」のメンバーが次々に命を落とす光景を目の当たりにしたサバントは、任務から逃走。
指令室から戦況を見ていた「タスク・フォースX」の責任者ウォラーは、サバントが逃げた事に怒り、サバントに埋め込んでいた爆弾を爆発させる。
「タスク・フォースX」のメンバーは、全員が体に小型爆弾を埋め込まれており、任務を放棄したりウォラーに逆らった瞬間に、爆発する仕組みになっていた。
リック・フラッグやハーレイ・クインが人質にされ、舞台は壊滅状態。
絶体絶命に思えたが、実はリック・フラッグが指揮ていた舞台は「Aチーム」で、他の場所から「Bチーム」が上陸していた。

2016年の『スーサイド・スクワッド』は、正直厳しい内容だったよね

DCコミックの悪役が集結し、遂行不可能なミッションに挑む『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』。
2021年版の前に、 ウィル・スミス主演で2016年にも『スーサイド・スクワッド』が製作されています。
 マーゴット・ロビー演じる、ハーレイ・クインという人気キャラクターこそ出て来ましたが、ただ作品全体で言うと厳しい内容でした。
理由は、いろいろありますが、当時の「DCエクステンデッド・ユニバース」が、それぞれの作品が関連していく内容だった為、敵が後の『ジャスティス・リーグ』に繋がるような、魔女だか怪物だったかで、とにかく「悪人が結集したチーム」が霞んでしまったのが原因だと思われます。

中途半端にジョーカーが出て来たのも、首を傾げるしかなかったしね。

その後『ジャスティス・リーグ』が失敗した事で、「DCエクステンデッド・ユニバース」は、それぞれ独立した作品となっていきます。
そして誕生したのが『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』です。

炸裂する「ジェームズ・ガンらしさ」

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』の脚本と監督は、ジェームズ・ガン
MCUの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの監督ですが、ある出来事が理由で外されてしまい(その後に復帰)、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』を手掛けました。

ジェームズ・ガンは「悪魔の毒々モンスター」シリーズなどの悪趣味映画(いい意味)で、知られる「トロマ・エンターテインメント」で、映画作りを学びました。
そして『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』では「トロマ魂」とも呼べる、悪趣味やバカ展開が炸裂しています。

それは、今回の主役と思われた「スーサイド・スクワッド」のメンバーが、次々に死んでいき、無残な死体と共に映画が始まる、オープニングでよく分かると思います。

その後も、中盤でブラッドスポートとピースメーカーが殺した数を競いだしたり、ハーレイ・クインの奪還計画に動いた時には、すでにハーレイ・クインが逃げ出していたりと、とにかく「おバカな展開」が続きます。
ちなみに、本作に登場する二足歩行のサメ「キング・シャーク」は、シルベスター・スタローンが声を出しています。
ジェームズ・ガンは、スタローンに「あなたの為に考えたキャラだ」と伝えたそうですが、スタローンはどんな気持ちだったのでしょうね。

一番大切なメッセージを、最悪の光景で見せる!(ネタバレあり)
とにかく、個性的な悪役が「おバカな展開」を見せる『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』ですが、作中に現代社会へのメッセージをキッチリと入れています。
本作のクライマックスで、怪獣スターロ大王が出現し、街を破壊し始めます。
軍の攻撃も通用せず、小型の分身で人間を襲う、恐ろしい怪獣に対抗する手段がありません。
ですが、「スーサイド・スクワッド」のメンバー、ラットキャッチャー2が操るネズミの大群が、スターロ大王を倒すのです。
小さく力の無いネズミでも、協力すれば巨大な怪物も倒せるという、とても道徳的な展開…ですが、映像ではスターロ大王に、凄まじい数のネズミの大群が押し寄せ、スターロ大王の目の中に入り神経を噛み切るという、結構最悪に近い光景が広がります。

ネズミが苦手な人は直視できないでしょう。
でも、込められたメッセージは道徳的、このギャップがたまりません。

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』は、興行的に厳しかったようなので、ジェームズ・ガンの「スーサイド・スクワッド」は、これっきりかもしれませんが、多くの人に見てほしい、とにかく楽しい作品でした。

映画『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』可愛くなったヴェノムは「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の中心になる?

 

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スパイダーマン」シリーズに登場する、人気の高いヴィラン「ヴェノム」。
原作では、スパイダーマンに恨みを持つジャーナリストのエディと、スパイダーマンに寄生した地球外生命体「シンビオート」が合体した姿でした。
スパイダーマンの能力と怪力を併せ持つ、厄介な相手ですが「人に迷惑をかける奴が嫌い」という道徳観から、時にはスパイダーマンと共闘するという、面白いキャラクターです。
その、ヴェノムを主役にした2018年公開の『ヴェノム』は、権利関係からか、スパイダーマンが一切関わらないまま、ヴェノムの誕生を描いた作品になっていました。
その続編となる『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のヴェノムは、何故か可愛いキャラクターになっています。

『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のあらすじ

ジャーナリストのエディ・ブロックに寄生し、地球での生活を送っている地球外生命体「シンビオート」のヴェノム。
エディは、凶悪殺人鬼であるクレタスの取材を行った際、クレタスに噛みつかれてしまう。
その際に、エディの血中に入っていた「シンビオート」がクレタスの体内に入り、クレタスは凶暴な「カーネイジ」へと姿を変える。
「カーネイジ」と化したクレタスの目的は、恋人のシュリークの奪還だった。
そんな状況の中、エディは自分の仕事が上手くいかない理由をヴェノムになすりつけた事で、エディとヴェノムの関係が悪くなる。
しかし、エディの元恋人であるアンに、「カーネイジ」の魔の手が迫っていた!

最大のピンチは、エディとヴェノムの喧嘩

原作でも強大な力と狂気を併せ持つ、強敵として知られる「カーネイジ」が登場する『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』。
原作では「カーネイジ」を倒す為に、ヴェノムとスパイダーマンが共闘する程の相手でした。
本作でも、さぞやその強さに苦戦するだろうと思いましたが、「カーネイジ」も強いですが、本作最大のピンチはエディとヴェノムの喧嘩となっております。

これが完全に些細な事からの痴話喧嘩で、怒ったヴェノムがエディの体から出て行って、エディのバイクを破壊する場面とか、何か可愛らしいですね。

と言うか『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のヴェノムは、エディの為に料理を作ったり、パーティーでエイリアンと人間の共生を主張したり、「カーネイジ」にビビッて一回はエディの体に戻ったりと、どこか人間臭くて可愛らしい部分が強調されているような気もします。

だからこそ、エディとの「相棒のような関係」が目立ち、そこが他のアメコミキャラクターと大きく違う部分になっていますが、『ヴェノム』公開前は「R18指定になるかもしれない、残虐なダークヒーロー映画になる」という噂もあった為、別に実写版ヴェノムが悪い訳じゃないですが、若干「何故こんなキャラクターになったのか?」感はありますね。

ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の中心はヴェノム?(ネタバレあり)


2017年5月に、スパイダーマンに関連する、様々な作品を原作にした「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」が発表されました。
その第一弾的な作品が『ヴェノム』です。
今後も『モービウス』『クレイヴン・ザ・ハンター』など、スパイダーマンの代表的なヴィランを主役にした作品が公開されていく予定です。
これらの作品が「マーベル・シネマティック・ユニバース」のように関連していくのか?それとも「DCエクステンデッド・ユニバース」のように、それぞれ独立した作品になるのか不明です。

MCU版「スパイダーマン」シリーズ全作でプロデューサーを務めるエイミー・パスカルは、今後もトム・ホランドスパイダーマンを演じる可能性について語っており、トム・ホランドが「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」に直接関わって来るかもしれません。

ですが、おそらく「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の中心になるのはヴェノムでしょう。
ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」を引っ張る為、ヴェノムは子供から大人まで愛されるキャラクターになる必要があったのです。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のエンドクレジット後に、少しだけエディが登場しますが、何もしないまま帰る辺り「なんかエディとヴェノムらしいな」と感じたのは、可愛らしく人間臭いヴェノムのキャラクターが成功した証かもしれません。

『ヴェノム』シリーズの第3作も企画されているらしいので、今後もエディとヴェノムのコンビに期待したいですし、いつかはスパイダーマンと顔を会わせてほしいですね。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、MCU版のスパイダーマンにピンとこなかった人ほどオススメ!(超ネタバレ注意)

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スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続く、MCU版のスパイダーマン最新作にして、最終作。
予告の段階で、ドック・オクやグリーン・ゴブリンなど、これまでのシリーズのヴィランが登場するなど、とんでもない事になっている映画です。
ただ、MCU版のスパイダーマンは、サム・ライミ監督版や『アメイジングスパイダーマン』と比べると、ちょっとピンと来ない部分があった気がします。


ですが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、自分も含め「何か違う」と思っていた人ほど、おススメの作品ではないでしょうか?


スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』あらすじ
ロンドンでミステリオを倒し、ニューヨークに戻って来た、スパイダーマンことピーター・パーカー。
だが、タブロイド紙「デイリー・ビューグル」の編集長、J・ジョナ・ジェイムソンが、ミステリオが残した映像を入手した為、世界中に「スパイダーマンはピーター・パーカーである」と報道されてしまう。
その報道は瞬く間に広がって行き、ピーターとメイおばさんが住んでいるアパートは、報道陣に囲まれてしまう。

ピーターは「ミステリオ殺し」の汚名を着せられ、警察の尋問を受ける。
警察の尋問は、ピーターだけでなく恋人のMJと、親友のネッド、メイおばさんにも行われた。
だが、腕利きの弁護士マードックにより、拘留を解かれる。
それでも変わらず、アパートの周囲は混乱している為、ピーターとメイおばさんは、ハッピーの自宅に匿われる。

大学入試を控えたピーターは学校に通うが、学校の周囲もマスコミや「ミステリオ派」が集まっており、厳戒態勢が敷かれていた。
突然の大混乱に戸惑うピーターだが、MJとネッドと共に「同じ大学に通おう」と約束する。
だが、混乱を嫌った大学側から、ピーターで、MJ、ネッドは不合格を言い渡されてしまう。

自分の責任で周囲の人間にまで迷惑をかけたことに、責任を感じたピーターは、魔術師ドクター・ストレンジの屋敷に相談へ行く。
ストレンジは、全世界の人間から「ピーターがスパイダーマンである」という記憶を消す魔術を使おうとするが…。

MCU版「スパイダーマン」シリーズのピーター・パーカーは15歳
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場した、MCU版のスパイダーマン
アベンジャーズ」シリーズを実写化するなら「スパイダーマンも登場してほしい」と願っていましたが、当時は権利をソニーが持っていた事から、半ば諦めていました。
ですが、ソニーがマーベルと権利を分割することで合意し、MCUスパイダーマンが登場する事になりました。

 

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の予告を見た時は、盾を盗むスパイダーマンに燃えたね!

ただ、登場したピーター・パーカーは15歳という設定になっており、当時アイアンマン、キャプテンアメリカなどが主流だったMCU全体を見ても、若いキャラクターになっていました。

なにせ、ティーンエージャーだからね。

15歳のピーター・パーカーが、アイアンマンことトニー・スタークの援助を受け、ヒーローとなっていくのが、この後に制作された『スパイダーマン:ホームカミング』です。

とにかく明るい「スパイダーマン」だった『スパイダーマン:ホームカミング』
スパイダーマン:ホームカミング』では、トニー・スタークに認められてたい一心で、ヒーロー活動をするピーター・パーカー。
サム・ライミ監督版や『アメイジングスパイダーマン』との大きな違いは「ベンおじさんの死」が無いという事。


「ベンおじさんの死」が、ピーターが正義に目覚めるキッカケなんですが、そういった暗いエピソードは無く、とにかく空回りするピーターの、ドタバタがコミカルに描かれていました。


敵となる「バルチャー」ことエイドリアン・トゥースが、ピーターの恋人の父親で、家族の為に悪事に手を染めるという部分はありますが、とにかく明るい「スパイダーマン」が『スパイダーマン:ホームカミング』だったという印象です。

「アイアンマン」を失った以降の話『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
スパイダーマン:ホームカミング』の続編『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、サノスとの戦いにより世界が「アイアンマン」を失った以降の話。
目標でもあったトニーを失ったピーターですが、残されたトニーの眼鏡を使い、スターク社の殺人ドローンを誤作動させるなど、相変わらずドタバタの内容が繰り広げられます。

最終作で「スパイダーマン」の王道が展開される『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(ネタバレ注意)
そして最終作となった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ですが、過去のヴィランドクター・ストレンジの登場など、おもちゃ箱をひっくり返したようなお祭り映画かと思えば、そうではなく、とにかく明るい「スパイダーマン」だった前2作と比べて、かなりシリアスです。
その理由として、これまであえて描いてこなかった「育ての親」であるメイおばさんの死や、「スパイダーマン」を象徴するセリフ「大いなる力には大いなる責任が伴う」が、ここで登場します。

メイおばさんの命を奪ったグリーン・ゴブリンを、憎しみの力で叩きのめそうとするピーターを、ある人物が止めるのですが、この展開は涙なしでは見れませんでした。

そして、最後にピーターは、ニューヨークのボロアパートで1人暮らしを始めます。
これまでのハイテク機能がいろいろ付いた、スターク製のスーツではなく、自分で作ったスーツを着て、孤独に「スパイダーマン」として、ニューヨークの治安を守る道を選びます。

 

個人的に見たかった「スパイダーマン」の姿はこれ!

MCU版の、ティーンエージャースパイダーマンも悪くは無いよ?
だけど「何か違う」とも正直思っていた。
個人的に、スパイダーマンの魅力は、人知れない孤独と悲しみを背負いながら、それでも「親愛なる隣人」として街を守る姿で、それこそ「本当にカッコいいと」感じるのです。

スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ときて、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は「どう終わるのか」と思っていましたが、最終作にして王道の「スパイダーマン映画」と言える、凄まじい完成度でした。

映画「三度目の殺人」やはりテーマは「家族」だった!?

映画「三度目の殺人」は是枝裕和監督が、福山雅治と「そして父になる」に続き2度目のタッグを組んで制作された法廷サスペンス。
是枝監督は「そして父になる」の他にも「海街ダイアリー」などで「家族」をテーマに映画を制作していた。

今回、初の法廷映画という事で、脚本を300回書き直したという話もあるほどである。

ただ、今回の「三度目の殺人」は、やはりテーマは「家族」ではないかと思う。
ここから、映画のネタバレ全開で考察していきたいと思う。

三度目の殺人」あらすじ
弁護士の重盛(福山雅治)が弁護を頼まれた容疑者三隅(役所広司)は、1人の男性を撲殺、ガソリンをかけ焼き殺した殺人の容疑にかけられていた。
三隅の減刑の為に身辺を調査する重盛は、三隅が殺害した男の娘、山中咲江(広瀬すず)と出会う。
三隅は、殺害した男の娘と面識があり、男の妻とも「例の件お願いします」と書かれたメールのやりとりをしており「保険金殺人」の疑いもかけられるが確証が掴めない。

そして始まった最初の裁判の後に、咲江が事務所を訪れ父親は咲江に性的暴行を繰り返していた事を証言、彼女は裁判で自身の過去を全て話、その上で三隅を救おうと考えていた。
重盛が、その事実を三隅に話すと一転、彼はなんと罪を認めないと言い始めた。最初は否認していた、しかし検事と弁護士両方から認めれば罪は軽くなると言われたと。突然の告白に混乱するも既に進んでいる裁判を途中で辞めることは出来なかった。
裁判は一時的に混乱したが、最終的には三隅の死刑が確定。
重盛は三隅の気持ちを理解しようとするが、結局は何も掴めないままだった。


三隅は咲江の父親になろうとしたのではないか?
この映画の核とも呼べる部分は「供述が何度も変化する容疑者」という部分だと思うが、この供述が変化する理由が、三隅が裁判を混乱させて咲江を守ろうとした為と捉える事が出来る。
では何故、三隅は咲江を守ろうとしたのか?

自身の娘と重ね合わせたのではないか?

娘を守る為に、行き過ぎた行為ではあるが殺人を犯した、そして咲江も、自分を守ってくれた三隅を父親のような存在として感じていたのではないか?

他人同士が血の繋がりを超えた存在になる、これまでの是枝監督作品と共通する!
三姉妹が異母妹と出会い、家族になっていく「海街diary」、血の繋がりが無い息子との問題に向き合い、父親として成長し、家族の絆を強くなる「そして父になる」と、是枝監督は、他人同士が、血の繋がりを超えた存在になる作品を制作してきた。

今回の「三度目の殺人」も、法廷サスペンスという是枝監督としては初めて手掛けるジャンルではあるが、やはり根底にあったのは、他人同士が血の繋がりを超えた存在になる事で、三隅と咲江は親子のような関係になったのではないか。

殺人の動機も真相も、劇中では核心に触れないが「娘を守ろうとした父親」の物語として観ると、いろいろと納得出来てしまう映画だった。

ターミネーターじゃない方の「T2」レントンは希望を取り戻したのか?絶望したのか?

2017年4月8日に日本で公開された「T2」は、「ターミネーター」じゃなく、90年代に大流行した映画「トレインスポッティング」の20年ぶりの続編である。
何故「T2」なのかは、監督であるダニー・ボイルは「映画の続編として理想的なのは『ターミネーター2』で、リスペクトの意味を込めて」と語っている。

トレインスポッティング」の1作目は1996年に公開され、R-15指定でありながら、若者を中心に人気を集め、部屋に「トレインスポッティング」の蛍光オレンジのポスターがあるだけで、オシャレな気持ちになれたし、「トレインスポッティング」を観ている事が「映画を分かっている奴」気分になれた。
まさに、90年代のカルチャーを代表する1作だったのだ!

トレインスポッティング」のあらすじは…?
ヘロイン中毒のレントンは、仲間たちと自堕落な生活を送っていた。
それでも、彼の事を愛してくれる両親と共に「禁ヤク生活」に挑み、就職もして更生したかのように見えたが、再びヘロイン生活に逆戻りしてしまう。
再度、仲間たちと自堕落な生活に戻るかと思われたレントンは、仲間たちの大金を盗み、街を脱出するのだった。

一大ムーブメントを巻き起こす要素が皆無の、どうしようもない内容のように見えるが、マニュアル通りに生きていけない若者の苦悩が見事に表現され、最後にレントンが走って行った時には「レントンの輝かしい未来」を想像して清々しい気持ちになったもんだ。

20年後レントンは帰って来た!
そして「T2」は、レントンが走り去ってから20年後が描かれる。
レントンのかつての仲間であるサイモンは、女性を使い盗撮した映像で恐喝をして生活費を稼ぎ、スパッドは人生が上手くいかず自殺未遂を起こし、ベグビーは刑務所暮らしから逃げ出し、息子を犯罪の道に誘うなど、成功とは程遠い人生を歩んでいた。
その地に再び戻って来たレントン
スパッドに「薬物を止めるなら、他に熱中できる事を探せ」とアドバイスし、サイモンには20年前に持ち逃げした大金の一部を渡し「家族も仕事もある、明日にはこの街を出る」と冷静に語るレントン

そこには、20年前より大人になり、立派になった姿があった。

だが、サイモンはレントンを恨んでおり、恨みを晴らす目的を込めて、レントンに再び「一緒にやろう」と持ち掛けるが、レントンは全く取り合わず、飛行機に乗って帰ってしまう。

…と思ったら、再びサイモンの前に姿を現すレントン
実はレントンは子供もおらず、妻に家を追い出され、会社ではリストラ候補になるなど、やはり成功とは程遠い人生を送っていた。

サウナを作り、事業を起こす計画を成功させる為、
再び手を取り合うサイモンとレントン

だが、レントンが戻った事を知ったベグビーは、20年前の復讐をする為に、レントンを探し始める。

サイモンとレントンは、怒り狂ったベグビーから逃れ、人生をリセット出来るのか?
スパッドは新たな趣味を見つけ、麻薬を断ち切れるのか?
4人の止まっていた時間が、再び動き出す。


「こいつら変わってないな!」が、こんなに悲しい映画もそうは無い
「T2」のメインキャラクター4人は全く変わっていなかった。
映画の続編などで、登場キャラクターの中身が変わっていないと「こいつ変わってねぇなぁ」と愛着を感じるものだが、この映画は違う。
リアルに20年という歳月が流れ、俳優の容姿もリアルに変わってしまった事もあるだろう。
20年前は若くて、未来もチャンスもあったかもしれないが、それすらも失ってしまったという悲しさもあるだろう。
「なんか、悲しい…」そんな映画だった。

監督のダニー・ボイルはインタビューで
「やっと自分の身の回りを整理しないといけないっていうことに気が付くんだ。それはつまり大人になるってことさ。この映画はいわば“失望した子供たち”を描いている。」
と語っており、20年越しで大人になった4人の姿を描いたという。

レントンが得たのは希望か絶望か?
映画は、イギー・ポップの音楽に合わせてレントンが子供の頃のベッドルームで踊るラストシーンで締めくくられる。
それは、未来もチャンスもあった若い頃に思いを巡らせているのかもしれない。
何もかもを失ったように見えるレントン、だが昔の仲間との再会を経験し、かつての「生きる力」を取り戻したかのように見える。
果たしてレントンの胸の内にあるのは希望か?絶望か?
20年前に大金を盗んで走り去った彼を見た時と同じ、今後を想像させられてしまう。

 

かつて「トレインスポッティング」を観た「若者だった」人たちは、今の彼らをどう感じるんだろうか?

映画「22年目の告白 私が殺人犯です」は、どう楽しめば良かったのかをネタバレ全開で考える

2017年上半期の映画業界、ぶっちぎりの強さを見せたのが「美女と野獣」だった。
往年の名作を、美しい映像で再現したこの作品、根強いファンが当たり前のようにいる為、その強さも納得がいった訳だが、そんな「美女と野獣」を首位から陥落させた映画があった。

映画「22年目の告白 私が殺人犯です

3週連続の首位を記録した大ヒット映画で、評価も高い作品だが、私はあえて問いたい。

この映画は「どうやって楽しめば良かったの?」

ここからはネタバレ全開で、この映画の問題点を考えていこう。

問題点その1
何故、22年間も捕まらなかったのか?
まず、この映画の楽しみ方は「犯人がどういう奴なのか?」だと思う。
22年間も警察を欺き、時効を迎えたら記者会見を開き、サイン会まで開いてしまう大胆不敵な男。
世間は男に魅了され、カリスマ的な存在になる。
取り逃がした刑事や、被害にあった遺族からすると、悲惨な状況となる訳だが…そもそも何故捕まらなかったのか?の説明が無い。
ましてやこの犯人は、刑事と一度格闘をしており、その際に左肩を撃たれているという、とてつもない特徴を持っている。
なのに、何故逃げ切れたのか?
ここは結構大事なポイントだったとのではないかと、全く触れないのは問題だと思う。

問題点その2
後付けがとてつもなく、裏切り方が酷い
この映画の楽しみ方は「時効を迎えた殺人犯、曾根崎の正体」を探る事にもあると思う。
時効を迎えて姿を現した曾根崎の目的は?そもそもこの男が殺人犯なのか?という点。
結論から言うと、曾根崎は犯人ではなく、刑事の牧村の妹と交際していた元恋人の拓巳だった、真犯人が牧村の妹を殺害した為、犯人をおびき出すために牧村と結託していたのだ。
ただ、それは映画を観ていると、何となく観客も気付いてくる。
映画は、その観客の予想を覆す為に、映画の途中で拓巳が自殺するシーンを入れる、観客は「じゃあ、違うのか?誰だ?」と思う。
だが、全ての真相が明らかになった途端「実は拓巳は生きてました」という回想シーンを入れてくるのだ。
この展開に「酷い!」と思ったのは私だけだろうか?
この展開が続くなら、後から「実はこうでした」の回想シーンを入れていけば、映画は成立する事になる。
後付けが酷い展開は、指摘する批評家もいたが「そんな事は気にならないぐらい映画はパワーに満ちている」と評価する人も多い。
果たしてそうか?私は、その後の展開がどうでも良くなったが、ただ「じゃあ犯人は誰よ?」という部分で楽しむ事にしたのだが…。

問題点その3
犯人が明らかに!そこから山のように溢れる疑問点…
「じゃあ、犯人は誰なのか?」その展開に進む為、映画はニュース番組のキャスター、仙堂のインタビューシーンに移行する。
仙堂の別荘で行われるインタビュー、そこに現れる拓巳、そして犯人が仙堂だと判明する。
そこから、仙堂が犯行を認め、1人語りに入り終いには「俺を殺せ!」とか「この殺人は美しくない」とか意味不明な事を口にするのだが…何だよ!この展開!
警察は、ニュースキャスターとしてテレビに出演していた男の証拠を何も掴めなかったの?
左肩撃たれてるんだよ?
他にも、突然殺人を止めた意味も分からない、精神的な病気で抑えられなかったんでしょ?
拓巳に指摘されただけで、あっさり認めた意味も分からないし、拓巳が仙堂を犯人と確信したのも「ボールペンを差し出して来たから」って、それで真相に辿り着けるなら、警察は22年間、何をしてたの?

この映画の不満はこの一言で「警察はそんなに無能なの?本当に何をしていたの?」である。

これが「ターミネーター」とか「リーサルウェポン」とか「現実的な事は気にせずに楽しむ映画」なら、いちいち気にしないが、この映画がサスペンスとジャンル分けされるなら、ある程度は現実的な部分は必要だったのではないか?

 

仙堂を取材している人たち目線で、話が進めば良かったのでは?
そこで、私なりに考えたのは、映画を進める目線は「仙堂を取材していたテレビ局の人」で固定して良かったのではないか?
「世間を騒がす殺人犯」「取り逃がした刑事」「一連の事件を追及するジャーナリスト」この3人を、観客と同じで何も知らないテレビ局の人目線で進めていけば、もっと物語に入り込める作品になったのではないかと思う。

 

とはいえ、鑑賞後に後ろにいた女性は「面白かった!」と興奮していたので、人の感想はそれぞれだが「自分ならどう描くか?」を考えるのも映画の楽しさなのかと思った。